レギュラーの証明「規定打席」 今年初めて到達している選手は何人?

オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】

パは吉田正、山川らが初規定打席 チーム刷新のロッテ勢は5人

 プロ野球の「規定打席」は、打率、長打率、出塁率と「率」に関するランキングの基準となる。規定打席はNPBでもMLBでも「試合数×3.1(小数点以下四捨五入)」で求めることができるが、打者にとっては「レギュラー」の代名詞でもある。

 長嶋茂雄のように、1年目から引退する17年目まですべて「規定打席以上」というエリート選手がいる一方で、大部分のプロ野球選手は、一度も規定打席に到達することなくキャリアを終える。「規定打席」は、地味ではあるが、野手にとっては非常に大きな目標なのだ。

 7月18日の終了時点での両リーグ打撃ランキングで、今年、初めて規定打席に到達している選手を挙げていこう。

〇パ・リーグ 8人(現時点での打席数/そのチームの規定打席)

4位 吉田正尚(オ).310(344/257)
5位 中村奨吾(ロ).303(373/257)
9位 荻野貴司(ロ).287(351/257)
11位 井上晴哉(ロ).280(288/257)
13位 山川穂高(西).275(366/251)
19位 藤岡裕大(ロ).251(370/257)
21位 田村龍弘(ロ).245(293/257)
28位 ロメロ(オ).226(326/257)

 オリックスの吉田正は3年目の25歳。2015年のドラフト1位、入団1年目から開幕スタメンに抜擢されるなど期待されたが、腰椎の故障に悩まされ、3年目の今年まで打撃ランキングに載ることはなかった。2年目のロメロは昨年26本塁打したが、規定打席に達せず。今季はレギュラーで使われているが成績は下落している。

 ロッテの選手が5人と最多。井口資仁新監督が、チームを刷新しようとしているのが良くわかる。しかし、藤岡は1年目だが、井上は5年目、中村は4年目、荻野は9年目、田村は5年目、いずれも実力は認められながらも、十分に力を発揮できなかった選手たちだ。

 荻野は1年目から注目された俊足の外野手だが、毎年のように故障をしていた。ただ、今季も7月9日の試合で死球を受けて右手人差し指を骨折。全治2か月と診断された。ここまで351打席に立っているが最終の規定打席443に到達できるかどうか、微妙なところだ。

 西武の山川は5年目。昨年の後半戦からブレークし、その勢いのまま本塁打、打点の2冠王。リーグを代表する強打者にのし上がった。

セは岡本、吉川尚、糸原ら売り出し中の若手が初の規定打席クリア

〇セ・リーグ 9人

5位 松山竜平(広).312(264/245)
8位 アルモンテ(中).307(358/260)
10位 岡本和真(巨).303(362/264)
17位 糸原健斗(神).286(331/239)
19位 福田永将(中).268(297/260)
22位 西浦直亨(ヤ).259(288/248)
23位 高橋周平(中).255(276/260)
26位 神里和毅(デ).249(253/251)
29位 吉川尚輝(巨).225(308/264)

 6球団すべてに、新たに規定打席に到達した選手がいる。

 広島の松山は11年目の32歳。長年にわたり、代打や4人目の外野手という役どころだったが、昨年、故障をした鈴木誠也の代役で中軸打者として活躍。今季もスタメン出場が増えている。ただ規定打席との差はわずか「19」。数試合スタメンを外れると打撃ランキングから名前が消えることになる。

 巨人は、第89代目の4番に座った4年目の岡本と、2年目の吉川尚が規定打席入り。今季の巨人は打線が好調だが、中軸に岡本が座ったことが大きい。

 阪神は2年目の糸原が、二塁や遊撃など様々なポジションを守りながら、レギュラーの座を掴みかけている。

 中日の福田は12年目、高橋は7年目。ともに「将来の中軸打者」として期待されながら、伸び悩んでいた選手だ。ただし、まだ「不動のレギュラー」というところまではいっていない。新外国人のアルモンテは、信頼に応えている。

 ヤクルトの西浦は5年目、内野の激しいポジション争いに勝ってレギュラーの座を手にした。

 DeNAの神里はルーキー。ラミレス監督に抜擢されたが、7月に入って不振で2軍落ち。現在の打席数と規定打席の差はわずか「2」。最終的に規定打席に到達できるかどうかは、これからの頑張りによる。

 ペナントレースは半分を過ぎたが、順位争いが激しくなるとともに、選手の起用も大きく変化する。これらの選手が全員、最終的に規定打席に到達するとは限らない。彼らの今後の活躍に注目したい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

© 株式会社Creative2