創成館 好機逃さず 戸田が圧巻の投球 低めの変化球 抜群

 創成館が自慢の投手力をいかんなく発揮した。日頃、目と鼻の先で練習する難敵の長崎日大打線を相手に、左の川原、右の戸田とつないで一度も三塁を踏ませなかった。稙田監督も「ピッチャーに尽きる。最高のゲームだった」と納得の表情を浮かべた。
 圧巻だったのは1-0の五回から投げた背番号「11」の戸田。主砲杉原の一発以外は長崎日大のエース平岩に抑え込まれ、全く予断を許さない中でマウンドに上がったが、心身両面でぶれずに投げ切った。
 「軸足からの体重移動がしやすく、真っすぐが走る」と従来のワインドアップをやめ、無走者の時からセットポジションで投球。複数のクイックなど左足を上げる速さも柔軟に変えながら打者のタイミングをずらした。低めのスライダー、ワンバウンドになるフォークも抜群で、許した走者はわずか2人だけだった。
 激しい部内競争の中、昨秋から投手陣の一角を守り続け、今春の甲子園も経験した。夏の前哨戦のNHK杯県大会は自身が先発して初戦敗退したが「やり返す」の言葉の通り、今大会は2試合計7回2/3で被安打2、三振11、失点0。文句なしの活躍に「日に日に自信をつけている」と胸を張る。
 西日本豪雨に襲われ、この夏の地方大会の開幕も10日遅れた広島出身。幸い、実家などに被害はなかったが「当たり前に野球ができる喜びもかみしめている」。頂点まであと2勝。「次もチームのために全力を出し切るだけ」。頼もしい言葉が3年ぶりのV奪回を予感させた。

【準々決勝、創成館―長崎日大】5回無失点と好投した創成館の戸田=県営ビッグNスタジアム

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