西海橋で「陸の孤島」劇的に変化 100年の橋へ メンテ重要

 国の文化審議会が西海橋(長崎県)の登録有形文化財を答申した20日、橋が架かる佐世保市と西海市の住民や関係者が喜びの声を上げた。
 1955年、「陸の孤島」と呼ばれた西彼杵半島の住民の生活を変えた。開通前、対岸の佐世保市や大村市などには船で行き来するしかなかった。完成後は長崎と佐世保を結ぶ最短ルートとなり、半島内の道路整備が進んだ。西海市西彼町の大串紀雅さん(83)は「橋ができ、暮らしは劇的に変わった」と振り返る。
 大串さんは架橋実現に奔走した瀬戸村(現・同市大瀬戸町)出身の県議だった大串盛多(もりた)さんの孫。盛多さんは完成を見届けることなく亡くなった。紀雅さんは「祖父が咲かせた花が文化財に認められた。喜んでいるでしょう」と目を細めた。
 朝長則男佐世保市長は「新西海橋も含めた二つの橋は見応えがある。訪日クルーズ客を両市に呼び込むスポットとして期待している」、杉澤泰彦西海市長は「橋は西海市の玄関口。観光資源として最大限に生かす。登録後はイベントを開きたい」と会見で話した。
 文化庁への申請所見をまとめた長崎大名誉教授の岡林隆敏さん(橋梁工学)は「100年以上保つために不具合の早期発見、補修などメンテナンスがより重要になる」と指摘する。

© 株式会社長崎新聞社