26歳定年制で起きたルートインBCリーグの劇的な変化…村山哲二代表に聞く

ルートインBCリーグ・村山哲二代表【写真:広尾晃】

極端な打高投低の原因は若い高卒投手のストライクゾーン適応

 ルートインBCリーグの2018年前期シリーズは、東地区が群馬、西地区が福井の優勝で幕を下ろし、6月23日からは後期シリーズがスタートしている。今季から「26歳定年制」を敷いたことで、リーグには大きな変化が訪れている。今のルートインBCリーグについて、村山哲二代表に聞いた。

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 今年から「26歳定年制」を敷きました。オーバーエイジ枠はありますが、26歳になればうちの選手は引退します。26歳定年制を導入して大きく変わったのは、投手ですね。大きく点差が離れた試合が多く、極端な打高投低にシフトしました。26歳以上の投手が引退して、その投手に替わって高卒の投手が投げるようになったからです。

 高校生でも甲子園で活躍するような優秀な投手であれば、プロに入ってもすぐにプロのストライクゾーンに適応します。でもそれ以外の高校生は、高校から大学、社会人に入り、徐々にストライクゾーンが狭くなっていく中で、壁に当たります。それを克服して高い技術を身につけてプロに行くことになります。

 でも、今のBCリーグにいる高卒の選手は、社会人や東京六大学などレベルの高い大学には行けなかった子が多いんです。そういう子が、いきなりルートインBCリーグの狭いストライクゾーンで投げなければならなくなる。僕らはNPBのストライクゾーンで試合をしています。巨人や楽天の3軍とも交流戦があるし、審判にもNPBから派遣されている方がいるからです。

 いきなりそういうレベルになるから、特に若い投手たちは今、大変苦労しているはずです。でも「26歳定年制」をやめようとは思いません。大変だけど、僕らのリーグとしてはこちらの方が正しいと思います。一部改善する点はあるでしょうが。

 NPBのスカウトの方に言わせると、今の方がいい、と言います。厳しいストライクゾーンで生き残った子はプロで通用するからです。何より、開幕当初は全く通用しなかった高卒投手の数名は、今、厳しいトレーニングを重ねて対応しようと努力を続け、目覚ましい成長を遂げていることが一番です。

地域活性化のため、見直すべきところは見直す

 一方で、打者の方は極端に出ましたね。5割近く打っている選手もいますが、その数字だけではドラフト指名対象にはなってこないでしょう。それとカラバイヨをはじめオーバーエイジの打者がみんなよく打っていますね。多少の軌道修正は必要でしょう。

 実は4年ほど前に、試合時間を短くするためにストライクゾーンを外側と低めに拡げたことがありました。試合時間は短くなったけど、NPBとの交流戦になったら「これでは試合ができない」と言われました。そうなっては困るわけです。

 うちのリーグの本質は、NPBに選手を送り込むことだけではない。それも大事ですが、地域を野球で活性化させて、町を元気にさせることも重要です。

 ストライクが入らないというのは、そのままでは良くないと思います。ずっとリーグを続けていくには、面白い試合をするのも重要です。審判の技量の問題も含めて見直す部分は見直します。

 物事を変えることは、すごく苦しいことではあるけど、やってみないとわからないこともあります。トライしなければだめだなと改めて思っています。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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