「クロップの大抜擢が期待される、今季のリヴァプールで注目すべき三つの隠れた才能」

昨季、国内リーグではマンチェスターの両雄とトッテナムの後塵を拝し、チャンピオンズリーグではレアル・マドリーに地力の差を見せつけられたリヴァプール。

臨む新シーズンでは、多く者が彼らのリベンジを期待するところだろうが、同時に注目されるのがユルゲン・クロップの思い切った選手抜擢ではないだろうか。

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記憶に新しいところでは、昨季の開幕直後から徐々に出場機会を増やしてシーズン途中にはレギュラーポジションすら手中にしたジョー・ゴメス。クラインの負傷によって穴となった右サイドバックで10代ながら出色のパフォーマンスを見せ、ワールドカップロシア大会のメンバーにも名を連ねたトレント・アレクサンダー=アーノルドがその代表格で、いずれもクロップが大胆な起用に踏み切った際には大きなサプライズを与えた。

では、2018-19シーズンにクロップのお眼鏡に適う逸材は現れるのだろうか。

クロップが監督に就任していて以降、既にプレミアリーグで出場機会を与えられた選手を除き、筆者自らが推奨したい三選手を取り上げる。

このプレシーズンにレンタル移籍となるケースも想定されるが、いずれも名前を覚えておいて損はないタレントたちである。

カーティス・ジョーンズ(Curtis Jones)

2001年1月30日生まれ(17歳)

ポジション:CMF(RMF/LMF/OMF)

抜擢の期待度:★★☆☆☆

豊かな才能を秘めたる逸材を数々輩出してきたリヴァプールアカデミーにおいて、「近い将来、クラブを背負う」と期待を浴びる一人がカーティス・ジョーンズだ。

9歳で名門の門戸を叩き、以降はユース代表にも定期的に選出されように各カテゴリーの主力メンバーとして活躍。2018年1月に弱冠16歳でU-23チームでデビューを飾ると、翌月にはプロ契約を締結した。

そのクラブの決定には一種の驚きもあったが、トップチームの練習に定期的に参加させ、「マージ―サイドダービー」ではベンチ入りの権利も与えたユルゲン・クロップ自らがその才能を高く評価しているのであるから、当然の流れではあった。

基本的なプレースタイルは、高いキープ力でボールを前に運び、そこからの的確なパス選択で試合のリズムを作るタイプだが、1vs1ではエラシコやシャペウを繰り出してドリブル突破を図るなど、局面打開能力も高い。また、U-18、U-19のカテゴリーでゴールを量産したように自らゴールネットを揺らせる才も持ち合わせている点も彼の特徴の一つだ。

そして、起用する側にとっての嬉しいポイントは、攻撃色の強い選手ながら守備意識も高く、間近の選手へのチェイシングやプレッシングを率先して行うメンタルの持ち主であるということだろう。自らボールを奪い切る力はまだ物足りないが、「ショートカウンターのスイッチャー」としては十分に計算できる。

無論、まだ17歳という年齢もあり、攻守両面において課題はいくつもある。

しかし、中盤であればあらゆるポジションに対応できるユーティリティ性という強力な武器もあるため、手始めに国内カップ戦での出場を狙ってみることは無茶な計画ではない。

ナサニエル・フィリップス(Nathaniel Phillips)

1997年3月21日生まれ(21歳)

ポジション:CB

高さ、速さ、巧さの三拍子を兼ね備えた、“ナット(Nat)”の愛称で親しまれる万能型センターバック。

2016-17シーズン、アメリカのノースカロライナ州立大学から認可された奨学金を辞退し、リヴァプールのトライアル参加を決断。「これは本当に現実なのかと何度も自分の頬をつねったよ」と笑って振り返るほど夢のような数週間を送った後、U-23チームへの加入に至った経歴の持ち主である。

リヴァプールの一員になった以降は背中の怪我の影響もあり、満足できるシーズンを送ることはできなかったが、復調後にはU-23チームでキャプテンに任命されてプレーするなど、首脳陣からの信頼は厚い。

それもそのはずだ。前述のようにフィリップスは総合能力の高い守備者であり、その持ち前のスピードは、リヴァプールDF陣の中では快速組に入る、ゴメス、モレノ、クラインと匹敵するレベル。

さらに、対人戦や空中戦にも強く、ボールを奪った後には自ら運んでサイドにパスを展開するなど、あらゆる局面で貢献できるプレーヤーなのである。

ロヴレン、ファン・ダイク、マティプ、クラヴァン、ゴメスらとのポジション争いは決して容易ではないが、彼らとは異なるストロングポイントで勝負できるだけに、思い切って抜擢される可能性は大いにあるはずだ。

シェイ・オジョ(Sheyi Ojo)

1997年6月1日生まれ(21歳)

ポジション:RWG/LWG

抜擢の期待度:★★★★☆

新シーズンのリヴァプールにおいて「試合にさえ出られれば、最も違いを見せられる存在」と筆者がとりわけ注視しているのが、このシェイ・オジョだ。

2011年にMKドンズからリヴァプールのアカデミーに移った後、ブレンダン・ロジャーズ政権下ではトップチームでの出場機会も与えられた逸材であり、このクラブを愛するものであれば「何を今更…」という感はあるかもしれない。

しかし、その後、ウォルバ―ハンプトン、フラムで経験と実績を重ねた彼は、今や改めて期待を注ぐべき存在へとスケールアップを果たしている。

ストライドの大きなドリブルを特長とするウィンガーだが、カットインからのシュートも強烈(利き足は左足だが、右足も使いこなせる)で、そのパワーは相手守備ブロックを十分に脅かすレベル。ステレオタイプのウィングタイプではなく、ドリブルで中央エリアに進入して、攻撃の組み立てにも関与できる点も非常に面白い特性だ。

さらにそれだけではなく、対カウンターにおいてはきっちりと要所を抑えた守備を行える点も触れておくべき良ポイント。リヴァプールが信奉する「高速トランジション」のスタイルにも適応できるこの素養は彼の成功を大いに助けることだろう。

サラー、マネの“アンストッパブルズ”はもちろんのこと、新たにシャキリが加わったリヴァプールのウィング陣は厚みを増した。そして、このウィングポジションは、スターリッジやオリジを起用する選択肢も残されており、さらなる覚醒を目論む俊英ウッドバーンやレンタルバックのマルコヴィッチらの存在も忘れてはならない。

だが、「選手のタレント性を信じ、年齢やステータスを関係なく積極的に登用する」のがユルゲン・クロップの流儀だ。

そして、オジョにはドイツ人指揮官の心を揺さぶり、高いハードルを超えられるだけの可能性がある。

お知らせ

この度、Qolyでも連載経験のあるフリースタイルフットボーラーパフォーマーのtatsuya氏と共にYouTubeチャンネルを開設しました。

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