<カネミ油症50年>事実と教訓伝えたい 連続講座で旭梶山さん 「症状以外の不幸も」 五島

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 カネミ油症事件を考える連続講座が21日、五島市内であり、カネミ油症被害者五島市の会会長の旭梶山(あさひかじやま)英臣さん(67)と80代女性が被害体験などを講話。被害者の高齢化で油症の悲惨さや教訓を伝えることが難しくなっている点に触れ、大勢が苦しんだ事実や経験を何とか次の世代に引き継ぎたいという思いを訴えた。
 旭梶山さんは事件当時、高校3年生。出身の五島を離れ長崎市内の学校に通っていたが、帰省時に実家で汚染油を食べた。吹き出物、口や指の色素沈着、目の腫瘍などを発症し、1980年に油症認定された。
 国や原因企業カネミ倉庫(北九州市)などの責任を問う集団訴訟の3陣に加わり一審で勝訴。国から仮払金約280万円を受け取ったが、他の訴訟で国などの責任が否定され、国に返還を求められた。旭梶山さんは、自身の返還に加え親戚の債務も肩代わりしたと明かし、「金を返せず自殺や離婚をした人もいた。油症患者は症状以外にも不幸なことが起きた」と強調した。
 発生当時、五島市玉之浦町の診療所で患者の看護に当たった女性も講演。髪が抜けた患者や吹き出物の資料写真を示し、「この苦しみを決して忘れてはいけない」と涙ながらに語った。
 講座は第3回。市民約30人が参加した。

仮払金返還などさまざまな苦境に立たされたことを語る旭梶山さん=五島市三尾野1丁目、市福江総合福祉保健センター