メクル第292号 諫早出身の漫画家 草場道輝さん(47) 古里長崎 もり上げたい

 人気サッカー漫画(まんが)「ファンタジスタ」などで知られる諫早(いさはや)市出身の漫画家、草場道輝(くさばみちてる)さん。8月15日まで同市東小路(ひがしこうじ)町の市美術(びじゅつ)・歴史館で原画展(てん)を開催(かいさい)中です。今、連載(れんさい)中の「第九(だいく)の波濤(はとう)」は母校の長崎大を舞台(ぶたい)にした作品で、地元でも話題になっています。草場さんはどんな子どもだったのでしょうか。インタビューしてきました。

 子どものころ好きだった遊びはSケンや釣(つ)り、ガンダムのプラモデルを作ること。絵を描(か)くのが得意で、ばくぜんと「漫画家になりたい」と思っていました。高校時代から自作の漫画を描いて応募(おうぼ)するうちに、賞をもらって自信が付きました。サラリーマン生活をへて、25歳(さい)ぐらいで上京。アシスタントを経験(けいけん)した後、漫画家になりました。
 現在(げんざい)は週刊(しゅうかん)サンデー(小学館)で長崎大水産学部が舞台の「第九の波濤」を連載中です。自分が通った水産学部のことを知ってもらうことで、古里長崎や下降(かこう)気味の水産業界を少しでももり上げることができたらと考えています。登場人物のせりふは長崎弁(べん)が多く、分からない人もいるかもしれませんね。
 東京に長く住んでいますが、外から見る長崎のよさは海が近くて自然が豊(ゆた)かなところ。旅が好きで、47都道府県すべて行きましたが、長崎はやっぱりいいなと思います。V・ファーレン長崎はJFL(日本フットボールリーグ)時代からのサポーター。献身(けんしん)的なプレーに感動します。試合を見に行く時はユニホームを着て、タオルを回して応援(おうえん)しています。
 漫画を描いていると、どうにもアイデアが浮(う)かばなくなる時があります。そんな時はとにかく寝(ね)て、いったんリセット。お風呂(ふろ)の時や寝る前にアイデアが湧(わ)いたりするので、枕元(まくらもと)にはいつも紙と鉛筆(えんぴつ)を置いています。
 大人になった今、後悔(こうかい)していることは「もっと本を読んでおけばよかった」ということ。だから、みんなには漫画でも何でもいいからたくさん本を読んでほしいです。情報(じょうほう)を得るだけならスマートフォンでもいいと思うけど、本を読んで考え、感動したことがのちのちの財産(ざいさん)になると思っています。みんなに贈(おく)るメッセージは、サッカーの応援(おうえん)でよく使うイタリア語「フォルツァ(がんばれ)!」です。

 【プロフィル】くさば・みちてる1971年1月1日生まれ。諫早(いさはや)市出身。西諫早小-西諫早中-県立西陵(せいりょう)高-長崎大水産学部。1997年に漫画(まんが)家デビュー。県内で好きな場所は国道251号ぞいのジャガイモ畑、橘湾(たちばなわん)、雲仙(うんぜん)。元気になるから、ちゃんぽんを毎週食べる。

自身の原画展に合わせて帰省した草場さん=諫早市美術・歴史館

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