BCリーグ創設12年 NPB球団との連携で広がる可能性と故星野氏の遺志

BC栃木は村田加入の影響で観客動員が増加【写真:広尾晃】

村山哲二代表は新球団構想が動く静岡、茨城に期待

 ルートインBCリーグの2018年前期シリーズは東地区は群馬、西地区は福井の優勝で幕を下ろし、6月23日からは後期シリーズがスタートしている。今後のルートインBCリーグについて、村山哲二代表に聞いた。

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 観客動員は、微増というところでしょうか。週末の交流戦、ジャイアンツとの試合はたくさんお客さんがいらっしゃいます。ただ、観客動員がいいところと悪いところの格差が大きくなっています。村田修一選手が加入した栃木は好調ですね。さすがにネームバリューが違います。村田選手は肉離れで一時期戦線離脱しましたが、頑張っています。人間的に素晴らしい男ですね。

 それと、新潟は相変わらずお客さんが入っています。固定のファンがついているという感じですね。

 経営面では、武蔵球団の経営が安定してきたことで、選手も若い角晃多監督とのびのび、かつ厳しくトレーニングに励んでいて今後が楽しみです。

 富山は3期連続で黒字になり、伊藤智仁監督を招聘して、篠塚和典氏や古田敦也氏と対決するなど、ファンに楽しんでもらおうと努力しています。

 新球団構想としては、静岡が名乗りを上げました。社会人野球の河合楽器で選手、コーチを務め、今は浜松市会議員の黒田豊さんがチームを立ち上げられ、準加盟球団になりました。GMを公募するなど、体制を構築しておられます。本拠地の浜松は政令指定都市で商業都市でもあるので期待しています。

 昨年準加盟球団になった茨城も、今年は加盟に向けて動いています。体制面や資本金、運転資金などの財政面を審査して7月末までに結論を出す予定です。12球団になるかどうかはまだ分かりません。11球団体制は運営上難しいのですが、NPBとの交流戦を組み合わせれば日程的にも問題なさそうです。

NPB出身指導者のコーチングスキルは貢献度大

 NPB球団との連携も進んでいます。今季は日本ハム球団から武田勝さんが監督として石川に、楽天球団から有銘兼久さんが信濃に、草野大輔さんが新潟に、それぞれコーチとして派遣されています。いずれも所属は元のNPB球団のままで。こういうNPB育ちの野球人の仕事ぶりを見ていると、優秀な人間は選手を育てられるんだなと実感します。そういう指導者がいると、試合中の選手の態度やプレーが違ってくるんですね。

 武田勝監督は指導者として本当に素晴らしい。NPB球団から人を派遣していただくことのメリットは、ネームバリューだけではありません。むしろコーチングのスキル、能力での貢献度が大きいですね。

 NPB球団がルートインBCリーグに指導者を派遣してくださるきっかけになったのは、今年1月に亡くなられた星野仙一さんです。星野さんとは、信濃の飯島泰臣会長が明治大学野球部の主将で、星野さんの後輩だったご縁でつながりができ、昨年1月には一緒にゴルフをさせていただきました。

 昨年暮れの殿堂入りのお祝いの会でも、独立リーグを応援すると言ってくださいました。その遺志を継いで我々も頑張らなくてはと思います。

 ルートインBCリーグができて12年。マーケットが大きくできない中で、ある意味疲弊しています。でも続けていかないと。

 皆様が興味を持っていただけるように。他の団体とのコラボレーションをするなど積極的に動いていきます。僕らにしかできない低学年の野球教室なども行って、地道に野球ファンを増やしていきたいと思います」(広尾晃 / Koh Hiroo)

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