【準決勝】 海星 3年生が投打けん引

 初回に4点先行されても“夏の海星”の選手たちは、一度も下を向かなかった。NHK杯県大会決勝で敗れていた長崎商に逆転勝ち。決勝打を放った田中は「3年生の意地を見せられた」と充実した表情を浮かべた。
 2年生が主力と評されてきた今季。だが、この日、チームをけん引したのは最上級生だった。打のヒーローとなったのは、一度は練習の主力メンバーから外れた田中。同点に追いついた八回2死二塁、高めの直球を捉えると、打球は鋭いライナーとなって左中間を破った。一回途中で降板した先発荒木に「取り返すから任せろ」と掛けた言葉を見事に実践した。
 春の県大会で長崎日大にコールド負けした後、加藤監督の方針で、メンバーの3年生は主将の小林ら3人だけになった。田中は一時、練習にも参加できなかったが「このままでは終われない」と素振りや走り込みを継続。そのひたむきさが認められ、最後の夏に背番号「4」を取り戻した。
 投を支えたのは、荒木の後を受けてマウンドを託された小林。加藤監督が「絶対やってはいけなかった」と厳しい言葉を並べたように、初回に失策、四球絡みで4点を失ったが、その悪い流れを断ち切った。緩急を駆使して4回1/3を無失点。背番号「1」は「どんな形でも勝ちたいと腹をくくって投げた」と胸を張った。
 18度目の夏の甲子園まであと1勝。「最後は気持ち。ぶれずにやる」(小林)、「監督と主将を男にしたい」(田中)。3年生の意地とともに伝統校が勢いに乗った。

【準決勝、海星-長崎商】8回表海星2死二塁、田中が左中間へ適時二塁打を放つ=県営ビッグNスタジアム

© 株式会社長崎新聞社