反対地権者らが控訴 石木ダム訴訟「地裁判決は門前払い」

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対地権者らが国に事業認定取り消しを求めた訴訟で、原告106人は23日、ダムの公益性を認め原告側の請求を棄却した長崎地裁判決を不服とし福岡高裁に控訴した。
 地裁判決(9日)は、原告のうち地権者以外の居住者らの訴えを「原告の適格性があるとは言えない」として却下。同市の水需要予測や県の治水計画のいずれも合理性を欠くとは言えないとし、事業は「地元住民の生命の安全に関わり、得られる利益は非常に大きい」と指摘。土地収用法に基づく強制収用に向けた手続きの一環として、事業認定した国土交通省九州地方整備局(九地整)の判断は適法と結論付けた。
 原告で地権者の炭谷猛さん(67)は「地裁判決は門前払いに近い。あらためてダムが不要とする私たちの主張の検討を求めたい」と話した。九地整は「控訴の事実を把握しておらずコメントできないが、引き続き国の主張を訴えることになる」としている。

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