ASEANにおけるミャンマーの国際関係について ミャンマーは日本との結びつきが深い国で、東南アジアのインドシナ半島に位置しています。共和制国家で、1948年に独立してからしばらくの間はビルマ連邦と言う名称でした。アジアということで当然ASEANとの関係性もあるのですが、ASEANにおけるミャンマーと国際関係についてはどうでしょうか?今回はアジアのミャンマーとしてだけでなく、ASEANのミャンマーにスポットを当てて紹介していきます。

ASEANにおけるミャンマーの国際関係について

[東南アジア諸国連合\(ASEAN\)について](

[ASEANとは](

ASEANは日本の歴史の教科書にも出てくる名称ですが、正式な日本名称は東南アジア諸国連合です。名前の通り、東南アジアの国々で構成されている機関です。東南アジアの経済活動にも関わってくる機関ですが、構成しているのはインドネシア、タイ、シンガポール、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジアの国々です。

本部はインドネシアのジャカルタに置かれています。ASEANを構成している国の中には発展途上国も多く含まれていますが、インドのように世界経済に影響を与えつつある大国に発展している国もあります。ちなみに、東南アジアにおいては東ティモールが唯一ASEANに加入していません。

[ASEANはなぜ発足したの?](

2015年になり、AECが発足したことによって再び注目されるようになったASEANですが、もともとは政治的結束や他の国との対話の強化が目的とされていました。ASEANを見ても分かるように先進国は含まれておらず、一つ一つの国で見ると世界に与える影響は大きくありません。しかし、結束して一つの機関として機能させることによって世界の先進国と渡り合えるというものです。

今でこそ、ベトナムやラオスなどもASEANに仲間入りしていますが、当初は軍事で対立していたベトナムやラオスに対する防波堤的な役割もありました。しかし、今では政治的な結びつきというよりも、経済的な結びつきが強い機関に変化していった歴史があります。

[ミャンマーは1997年に加入](

ASEANが発足してからしばらく経過した1997年にミャンマーはASEANに加盟しています。軍事政権などから批判もありましたが、マレーシアやインドネシアの後押しがあって加入に至っています。もともと人権抑圧に対して世界的に批判を浴びていたことから、ASEANに加入しても順風満帆とはいきませんでした。

しかし、その後は少しずつミャンマーがASEANに欠かせない国の一つになり、ASEANの発展に貢献した国の一つになっています。1999年にはカンボジアも加わり、東アジアを包括的にカバーする体制が整いました。

[2014年にはASEAN首脳会議の議長国として任命](

最初は不遇な環境に置かれていたミャンマーでしたが、ASEANに加入してから17年後の2014年に初めてASEANの議長国に任命されました。初めて務めた議長国としてミャンマーに対する評価は右肩上がりになっています。

特に評価を受けているのは、中国船とベトナム船が衝突したときに高まった南シナ海の情勢への対応です。関係国に対し、自制や武力の不使用を求めたことによって存在感を示すことになりました。

[ミャンマーの国際関係](

[近隣諸国との関係](

ミャンマーは軍事政権で長らく来た歴史がありますが、民主化されてから急速に注目を浴びるようになった国です。近隣諸国との関係性については、特に文化的な影響の結び付きが強いインドや中国との関係性が良好になっています。

インドも中国も世界経済に大きな影響を与える国であり、大国との関係性が良好なことも注目されている理由の一つです。また、国交断絶をしていた北朝鮮との関係についても今は改善しつつあります。軍事的なリスクが小さいことから、近隣諸国からの評価も高いのが特徴です。

[日本との関係](

ミャンマーと日本は過去に大きなトラブルはなく、ASEANに加入した当初から良好な関係を維持しています。経済的な結びつきにおいても、日本政府はミャンマーのインフラ整備を請け負うなど深く結びついています。

インフラ整備によって日本企業がミャンマーに進出し、ミャンマーの経済発展が見込まれるなど、大きな効果をもたらしています。ミャンマーの軍歌に使用されているのが、日本の軍艦マーチであるように経済に限ったことではなく、さまざまな分野で結びついています。

[日本とミャンマーの関税について](

ミャンマー政府は外国貿易に対する商業税を8%から5%に減らし、輸出税も7%に減額されています。ちなみにミャンマーは欧米諸国から経済制裁を受けてきた歴史がありますが、2011年に民政移管を受けてから今は前面で解除されています。ミャンマーが民主制になったことによって日本とミャンマーの関税も変化することになりました。

ただし、関税による大きな影響はなく関税が原因となるトラブルも起こっていません。関税に関する問題については日本とミャンマーだけの問題ではなく、ASEAN全体の問題として捉えられているのが実際のところです。今後のASEANやミャンマーの関税の動きに注目です。

[まとめ](

ミャンマーは政治国から民主国に移行し、世界との結びつきが強くなっています。もともと日本とミャンマーは良好な関係を築いていたこともあって、大きなトラブルは起こっていません。また、民主国に転向したことで軍事リスクが小さくなり、今後の経済発展が期待されています。ASEANとしてのミャンマーの立ち位置というのも、今後はどんどん重要性が高くなっていくことが予想されます。

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