<大ヒット盤> 遊助『あの・・こっからが山場なんですケド。』 生き辛さを感じている人に聴いてもらいたい

遊助『あの・・こっからが山場なんですケド。』

 オリジナル8thアルバム。本作では、歌詞や歌声における彼の優しさや熱さが特長的だ。

 全12曲、LIVE向きの爽快ソング『C.H.O』で始まり、祖母に宛てた『ばーちゃんの背中と僕の足』、弟に宛てた『History VI』、スポーツを舞台としたエールソングの『常勝 遊turing 山猿』、更には遠距離恋愛がテーマの『Amore 遊turing KIRA』などテーマが幅広い。それでいて、祖母や弟については、幼き日々の過去から新しい家族を持った現在、更に未来に向けての想いがストレートに伝わるし、またどの相手にも等しく愛情を注ぐ遊助の人間力にも感心。

 出色と感じたのは『雷鳥』。実社会やSNSで言いたい放題の相手に対して「どっしり見据えて/電光石火のごとく」と鼓舞するレゲエ調の楽曲で、日ごろ生き辛さを感じている人に聴いてもらいたい。

 初回版BのDVDでは、参加ミュージシャンと遊助による制作秘話を披露し、彼の好かれ様がよく分かる。惜しむらくは、自身の大ヒット曲のリメイク『羞恥心の心』が通常盤のみ収録という点か。ともあれ、本作を聴けば、周囲への目配りが結果として自分の糧になることを学ぶはず。

(ソニー・初回限定盤B CD+DVD+手ぬぐい 3980円+税)=臼井孝

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