「自分らしい1枚に」 杏里が8月に新アルバム 5日には県民ホールで凱旋ライブも

 11月にデビュー40周年を迎える歌手の杏里(56)が8月1日にアルバム「ANRI」を発売する。アルバムには「DNAに染みついている」という1980年代のサウンドと、はやりのリズムを融合した11曲を収録。青い空と輝く海を感じる杏里らしい一枚になった。5日には県民ホール(横浜市中区)で凱旋(がいせん)ライブを行う。

 「80年代の音楽は、チャートに振り回されないエネルギーがある」

 「CAT’S EYE」、「悲しみがとまらない」などのヒットを飛ばし、自らもシーンをけん引してきた。AOR(Adult-Oriented Rock=大人向けのロックの意味)やディスコ音楽などの人気が再燃する中、長く仕事を続けてきた仲間と80年代音楽の再構築に挑戦。現在の杏里を凝縮したアルバムは、自然に体が動きだす、細胞に響く作品になった。

 ラッパーのDiggy-MO’(ディギーモー)と共演した「Don’t Stop Dreaming」は小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」のサンプリングを手掛けた坂本裕介が作詞などを担当。大ヒットが生まれた時代の空気を感じることができる。別れたサーファーの恋人とよりが戻り、波に乗る姿を砂浜から見つめる女性を描いた「Catch The Wave」は風を感じられる1曲に。

 「同世代からは『戻ってきたな、杏里』と思ってもらえるんじゃないかな」

 洋楽に目が向いたのは、大和市の自宅近くに米軍基地があったから。漏れ聞こえてくるFEN(基地関係者向けのラジオ放送、現AFN)で米国の音楽を知り、夢中になっていった。

 「昭和、平成。そしてその先も、長く愛される音楽を生み出していくため、メンタルもフィジカルもヘルシーでいたい」

 マリンブルーのロングドレスに身を包んだ歌姫が、軽やかに笑った。

「常に新しいことを発信していきたい」と杏里。音楽を続けていくため、挑戦することを大切にしている

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