スウェーデンの空港で、亡命申請していたアフガニスタン人男性の強制送還に反対するスウェーデン人の女性活動家が、男性の乗った航空機内で着席を拒否し、男性を降ろすよう要求。航空当局は求めに応じ男性の送還を中止し降機させる騒ぎがあった。
乗客全員が着席しシートベルトを締めるまでは、航空機が離陸できない規則を盾にとった抗議活動で、女性はこの様子を携帯電話で撮影、ストリーミング配信した。ビデオは転載分を含め１９０万回以上視聴され、賛否双方の反応が寄せられている。ドイツの公共国際放送「ドイチェ・ウェレ」（電子版）などが伝えた。
女性活動家は大学生のエリン・エルソンさんで２３日、５２歳のアフガン男性が乗ったスウェーデン南部イエーテボリ発イスタンブール行きの航空機に乗り込み、男性の送還を中止しなければ着席しないと宣言。英語で「男性はアフガンに戻れば殺害される」などと訴え、その様子を携帯電話で撮影した。
客室乗務員がエルソンさんに着席するよう命じたほか、一部乗客も座るよう説得。これに対しエルソンさんは「あなたの時間と男性の命とどちらが大切ですか」などと反論し、着席を拒否し続けた。エルソンさんの行為をたたえ支持を表明した乗客もいた。最終的に航空当局はエルソンさんの要求を受け入れ、アフガン男性を降ろすことを決定。これに対し、周りの乗客から拍手が巻き起こったほか、エルソンさん自身も涙を流しながら決定を喜んだ。
その後、エルソンさんも航空機から降ろされたが今後、機長の指示に従わなかったとして最大６月の禁固刑に問われる可能性がある。いったん送還が中止されたアフガン男性についても、司法当局は後日、あらためて送還の手続きをとる方針だという。 （共同通信＝太田清）
