藤蔭 1点守り抜く エース市川、無四球完封

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【柳ケ浦―藤蔭】完封した藤蔭の市川=別大興産スタジアム

 ▽決勝

柳ヶ浦 000 000 000│0

藤蔭  000 001 00×│1

 【決勝評】虎の子の1点を守りきった藤蔭が柳ケ浦との息詰まる投手戦を制して頂点に立った。

 藤蔭は六回、先頭橋本の左前打などで1死二、三塁とし、奥園の右犠飛で先制。その後は得点できなかったが、エース市川が最後まで相手に本塁を踏ませなかった。

 柳ケ浦は中園、上間の継投で失点を最小限に抑えた。だが打線が援護できなかった。

 最後の打者を内野ゴロに打ち取った瞬間、マウンドで跳びはねて喜びを爆発させた。藤蔭のエース市川晃大(3年)が決勝を無四球で完封し、チームを28年ぶりの甲子園に導いた。殊勲の右腕は「苦しい場面でも表情に出さないようにしてきたが、今は最高の気分です」と心から笑った。

 立ち上がりから冷静に試合を組み立てた。緊張はあったが、「力んで投げても何も変わらない」と、低めを丁寧に突いてキレで勝負した。四回、2連打され無死一、二塁のピンチに。だが「相手は直球にめっぽう強い」と冷静に分析し、変化球主体に切り替えた。続く打者を打ち取ると「自信になった」。低めの変化球で押し、後続を連続三振に取って切り抜けた。

 終盤は連投の疲れも見え始めた。両脚がつるような感覚も覚えた。今大会、唯一降板した準決勝と同じような状態だった。それでも「自分が」と、気持ちで投げ続けた。八回の守備に向かう際、原秀登監督から「お前と心中するつもりだから」と声を掛けられた。心配されていることも十分に分かった上で最高の笑顔だけで「返事」をした。九回、27個目のアウトを取った瞬間、「足の痛みも吹き飛んでいた」。

 投手に転向してまだ1年。今春までは横手投げだったが、春の九州地区大会県予選の準々決勝で明豊に大敗を喫し、「今のままでは通用しない」とスリークオーターに。球威は増したが、「慣れない部分もあった」という。それでも初戦から投げ続けて場数を踏み、打たせて取るすべを学んだ。甲子園でも好投が期待される右腕は「エースとして自分がチームを引っ張りたい」と誓った。

強気で戦った

 藤蔭・原秀登監督の話 五回まで無得点だったが、ピンチをしのいで落ち着きもあった。どこかでチャンスがあると思っていた。選手は強い気持ちで戦ってくれた。

全て報われた

 藤蔭・竹下大雅部長の話 日頃から一生懸命練習してきた成果を出してくれた。夏前も頂点が遠く、悔しい負けも数多く経験してつらかったと思う。でも全て報われた。

1日でも長く

 藤蔭・熊懐郁祐主将の話 プレーで力になれない分、声で勇気を与えてきたが、本当に頼もしかった。こんな素晴らしい仲間と一日でも長く野球がしたい。