プーチン氏圧勝、イタリアの波乱。アメリカ中間選挙も予想外|2018年 海外注目選挙まとめ

折返しを迎えた2018年。今年の上半期には、世界で重要な選挙が相次ぎました。今回の記事では上半期の重要な選挙を振り返っていきたいと思います。

3月 プーチン氏が過去最多得票率で当選したロシア大統領選挙

今年3月にはロシア大統領選が行われました。一見すると、既に3期務めたプーチン大統領が勝って当たり前の選挙に見えます。しかし、選挙によってプーチン氏の得票率には大きなムラがあります。今年1月には選挙自体が「茶番」であるとして、投票の棄権を訴えるデモがロシアの約100都市で開かれ、全土で180人以上が身柄を拘束されるなど、社会不安が広がっていました。そのため、再選し権勢を維持することを目指すプーチン大統領からすれば、今回の選挙では不満を封じ込めるために過去の選挙よりも高い得票率が求められました

こうした懸念点はあったものの、プーチン氏は2014年にクリミア半島を一方的にロシア領に編入して以降、国民から高い支持を獲得してきました。そして今年の選挙でも結局、過去最多となる得票率76.67%で当選しました。
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3月 選挙結果も波乱だが、その後の連立交渉も難航。イタリア議会選挙

同じく3月にはイタリアで総選挙が行われました。この選挙ではかつて反EUを掲げてポピュリズム政党として知られる「五つ星運動」が躍進し、その急進的な政策から国際政治に大きな影響を与えることが懸念されていました。

しかし、選挙の結果、五つ星運動が30%あまりの票を集め予想通り第一党になったものの、より強硬に反EU・反難民流入を掲げる政党「同盟」が第三党に躍進しました。そして、過半数の議席を獲得した政党が存在しないため、第一党である五つ星運動を中心に連立交渉が進んだ結果、5月末に五つ星運動と同盟による連立内閣が成立し、法学者のコンテ氏が首相に就任しました。五つ星運動と同盟の対立が激化して連立交渉が失敗し再選挙に追い込まれるという事態は回避しました。

しかし、五つ星運動と同盟は、そもそも政策的に近くはありません。同盟が強硬に反難民流入・反EUを掲げる一方、五つ星運動は近年そうした主張からは距離を置いています。難民問題については依然としてEUにおいても紛糾しているために、コンテ首相は国際政治と内政との間で、難しいかじ取りを迫られるでしょう。
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今年11月に向けたアメリカ予備選。思わぬ落選者続出

アメリカでは今年11月に行われる連邦議会選挙(中間選挙)の政党の公認候補を決める選挙(予備選挙)がスタートしました。予備選挙は現在進行中で全て終わった訳ではありませんが、その結果は驚きをもって迎えられています。民主党、共和党ともにベテラン議員が敗北する例が相次いでいるのです。

共和党では、1990年代下院議員を3期6年務め、その後サウス・カロライナ州知事を2期8年、その後下院議員を再び2期4年務めたサンフォード氏が予備選で敗退しました。サンフォード氏に勝ったのが、保護貿易を訴えるトランプ大統領支持を表明しているアーリントン氏でした。アーリントン氏は「我々はトランプの党だ!」と宣言し、共和党がブッシュ元大統領のころの政党から大きく変わりつつあることを見せつける結果となりました。

同様に民主党においても下院議員を10期務め民主党トップの後継者として有力視されていたクローリー氏が、28歳のオカシオコルテス氏に敗れたのです。オカシオコルテス氏は、2016年大統領選挙民主党予備選挙で善戦したサンダース氏を支持し、政策的には同じ民主党であったオバマ政権を批判し、国民皆保険や最低賃金の上昇といった政策を訴えてきました。民主党も過去の民主党から大きく変わりつつあると言えるでしょう。

このように、共和党でも、民主党でも、これまで中心的な役割を果たしてきた政策グループとは異なる政策を志向する候補が勝ちあがっています。無論、こうした候補は未だ少数であり、これで「民主党(共和党)は変容した!」と言うには時期尚早です。今後も予備選挙、本選挙が続きますが、こうしたトランプ的、サンダース的議員が増えるかに注目です。

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