「鉄拳7」のプロゲーマー 大村拠点に世界ツアー eスポーツの魅力広めたい ノロマさん(23)

 コンピューターゲームの対戦を、スポーツ競技と捉える「e(イー)スポーツ」。海外では2000年代から大会が開催。国内でも選手育成などを目的に、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU、東京)が2月発足するなど関心が高まっている。大村市内のゲームカフェ「ロムカフェ」に、eスポーツとして人気がある3D格闘ゲーム「鉄拳7」のプロゲーマーが現れるとの情報が入った。「プロゲーマーとはどんな職業か。どれほど強いのか」。取材を兼ね、対戦を申し込んだ。
 挑戦を受けてくれたプロゲーマーは、プレーヤーネーム「ノロマ」さん(23)=諫早市=。「ロムカフェ」に緊張感が漂う中、早速対戦。記者が操作するキャラクター「平八」のキックが、相手の「ジャック7」の頭部にさく裂。一瞬ひるんだ。「勝てるかも」。追い打ちを掛けようと突っ込むと一瞬のスキを突かれ、あっという間にボコボコにやられた。ゲームオーバー。さすがプロは強い。

 「鉄拳7」は、昨年から「TWT」と呼ばれる世界ツアーがアジアや欧米などで開かれている。大会はほとんどが大きなイベントホールで開かれ、数百人の観客が集まることも。試合はトーナメント方式で、大型ディスプレーを使って実況中継される。会場はまるでサッカーW杯のパブリックビューイングのような雰囲気。優勝賞金は大会によって異なるが、数十万円から数百万円ほど。プロゲーマーといわれる人たちは、大会に勝つために腕を磨き、賞金やスポンサー企業からの支援で生計を立てている。
 ノロマさんは昨年8月、TWTに初参戦、韓国大会で見事優勝した。「決勝の相手は連戦連勝の韓国人の強豪。アウェーの重圧で心臓がバクバクした」と振り返る。この優勝を機に、シンガポール大会準優勝、台湾大会優勝など快進撃。畳み掛けるような攻撃スタイルを得意とし、その実力は世界的に注目されている。

 ノロマさんがコンピューターゲームを知ったのは小学6年の頃、大村市内のゲームセンターに行ったのがきっかけ。対戦型の格闘ゲームをやってみると、レバーやボタンの組み合わせでさまざまな連続技が決まった。「これは面白い」。日曜や休日に通い詰め、強いプレーヤーに対戦を挑み、戦い方を研究して練習を重ねた。現在は大村市のIT企業「クーアズ」(石崎肇一(ちょういち)社長)が手掛けるeスポーツ事業のスタッフとして同社から支援を受け活動。2月にはJeSUからプロ選手の認定を受けた。
 ノロマさんはほぼ毎月、TWTの大会に出場するため海外へ。石崎社長は「国内でeスポーツの知名度はまだ低く、遊技として見られてしまうのが一般的」と嘆く。海外と比べ、大会の数、賞金額とも及ばない。
 同社は今後、「ロムカフェ」でゲーム大会やノロマさんとの対戦を企画し、eスポーツの普及を図る考え。ノロマさんは「多くの大会で優勝し、自らの知名度を上げることで高度な技を競い合うeスポーツの魅力を広めたい」と夢を語る。

真剣な表情で練習に励むノロマさん=大村市杭出津2丁目、ロムカフェ
TWT韓国大会で優勝し、賞金プレートを手にするノロマさん=昨年8月、韓国ソウル市内(クーアズ提供)

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