記事に題材、震災アート NIE全国大会で授業公開

復興を象徴する生徒の作品を前に「岩手に来た人に、伝わるものがあればうれしい」と語る畠山政文さん

 「新聞と歩む 復興、未来へ」をスローガンに、盛岡市などで26日開幕する第23回NIE全国大会。矢巾町の不来方高は、大船渡市出身の司書教諭畠山政文さん(60)が、東日本大震災を題材にした授業を公開する。古里で津波の犠牲になった命を胸に教壇に立ち、内陸校にいながら生徒と震災に向き合ってきた。大会では、芸術学系の生徒たちが震災に関する新聞記事から発想を得たアート作品を発表する授業を展開し、災害列島に生きる参加者に復興への「希望」を発信する。

 輝く光に包まれた新たな命、何げない日常の大切さ-。震災関連の記事を読み込み、音楽や絵画などの得意分野で「希望」のメッセージを込めた作品を創作する授業に取り組んだ。

 津波にさらわれた町の空撮写真に「郷土失色」と無念な見出しが載った2011年3月から7年4カ月。当時小学生だった生徒が震災と向き合い、新鮮な発想で作品を色付けていく姿に感慨深げだ。

 昨年度末に定年を迎えた畠山さんは4月、同校司書教諭として再任用された。国語と芸術科を横断する新聞活用の取り組みに「60歳にして挑戦」と意気込む。

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