【橋梁検査路、アルミ製の採用可能に】アルミ製品の市場拡大に期待感 「高速道路設計要領」に規格追加、軽量・高い防食性強み

 高速道路の建設・管理に関する研究開発を手掛ける高速道路総合研究所(NEXCO総研)はこのほど、2017年7月版の「高速道路設計要領」に「橋梁用アルミ合金製検査路」の規格を追加した。これにより鋼製、FRP製に限られていた橋梁の検査路において、アルミ製品の使用が可能になった。軽量で耐久性に優れるアルミ製検査路の市場が、今後大きく拡大する可能性が高まっている。

 橋梁検査路をめぐっては国土交通省が14年7月、道路や橋梁の老朽化対策として全国の橋梁とトンネルに対して近接目視による点検を5年に1度実施することを義務付けた。この決定を受けて、既設橋へ検査路の追加設置が必要になるケースが発生していたが、橋梁検査路の技術基準はNEXCO総研の鋼製とFRP製のみであったため、アルミ製はほとんど採用されていなかった。

 現在大多数が鋼製だが、沿岸地域や重雪氷地域では検査路が腐食して安全性を懸念する声も上がっていた。こうした中、軽量で施工性に優れ、高い防食性能も併せ持つアルミ製検査路を求める声に対応するため、高速道路総合技術研究所はアルミ製検査路の実用性について調査を開始。技術資料の作成に当たっては、日本アルミニウム協会の土木製品開発委員会が全面的にサポートした。

 こうした取り組みを経て、昨年7月に、高速道路設計要領に追加された。アルミ製検査路の基準概要と特徴は、同所研究員の稲荷優太郎氏が土木専門誌「橋梁と基礎(18年4月号)」に論文を投稿しており、普及を後押ししている。

 今回の決定で、橋梁検査路市場にアルミ製品が参入することが可能になった。アルミ協会の土木製品開発委員会では、すでにアルミが採用されている防護柵・水門・覆蓋・照明ポールなどの土木製品をPRすることに加え、道路橋床版・検査路・橋梁用制震ダンパーなどこれまでアルミがほとんど採用されていなかった製品の開発にも注力していくとしている。

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