三菱マテリアル、半導体素子の実装効率化へ「拡散防止膜用W-Tiスパッタリングターゲット」量産

 三菱マテリアルは25日、半導体における電極ピッチの微細化(ファインピッチ)プロセスに対応した拡散防止膜用W―Ti(タングステン―チタン)スパッタリングターゲットを開発し、7月から量産を開始したと発表した。エッチングの際に拡散防止膜が溶ける速さ(エッチングレート)を従来品に比べ最大で約60%向上させたことに加え、その範囲でエッチングレートを需要家のニーズに応じた速さに自由に制御することを実現した。半導体素子実装工程の生産効率の向上が期待できる。

 昨今はスマートフォンなどの高機能化に伴い、大規模情報通信が可能な半導体が必要となっており、ファインピッチでの接合が増えている。今回開発したターゲット材は、同社が長年にわたって蓄積してきた金属組成の設計ノウハウと制御の開発経験を生かして開発したもの。

 半導体チップを電子基板に実装する際にはアルミニウム、あるいは銅の下地電極上に金バンプという数十マイクロメートルの電極を形成する。だが、プリント基板が高温下で使用される機会が増えることに伴い、下地電極とAuバンプの元素の相互拡散による電気抵抗の上昇や密着性の低下のおそれがあるため、通常は下地電極とAuバンプの間にW―Tiスパッタリングターゲットにより形成した拡散防止膜を用いて元素の相互拡散を防止する。この場合、拡散防止膜のAuバンプを設置する以外の部分はエッチングにより除去するが、これまでの拡散防止膜ではエッチングレートが遅く、さらにその制御が難しいという課題があった。

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