震災で娘亡くした母同士、縫いぐるみで深まる絆 愛用の靴下…かわいい猿に

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電話やメールでの交流を経て、初めて対面した宮崎さくらさん(左)と佐藤美香さん=25日、合志市
花梨ちゃんの靴下で作られた縫いぐるみの「おのくん」

 熊本地震と東日本大震災でまな娘を亡くした母親同士が25日、合志市で初めて対面した。同市の宮崎さくらさん(39)と宮城県石巻市の佐藤美香さん(43)=氷川町出身。共につらい思いをかみしめ、「娘たちのことを風化させないため命の大切さを訴えていこう」と誓い合った。

 2011年3月、佐藤さんの長女愛梨[あいり]ちゃん=当時(6)=は幼稚園のバスに乗っていて津波にのみ込まれた。16年4月には、宮崎さんの次女花梨[かりん]ちゃん=当時(4)=が入院先の熊本市民病院で被災。転院先で亡くなった。

 「同じような思いをしたお母さんと話したい」。宮崎さんの思いに、同じ県出身の佐藤さんが応えた。ことし2月から電話やメールで交流。佐藤さんは、花梨ちゃんが入学式を迎えた姿の似顔絵を贈るなどしてきた。

 5月には、花梨ちゃんが愛用していた靴下を預かった。宮城県東松島市の被災女性たちの手で小さな猿の縫いぐるみにしてもらうためだ。縫いぐるみは製作拠点が同市の陸前小野駅前にあることから、「おのくん」の愛称で知られている。

 佐藤さんは今回、完成した縫いぐるみを贈るため熊本を訪れた。花梨ちゃんが履いていた黄色と水色のキャラクター柄の靴下は、高さ15センチほどの2体の猿に。自宅で佐藤さんから受け取った宮崎さんは「帰ってきた。すごくかわいい」と大粒の涙を流した。

 入院中もよく履いていたという花梨ちゃんお気に入りの靴下。宮崎さんは「一人で履けず、手伝ったことを思い出す。(表面の)けば立ちを見ると、なおさら花梨の気配を感じる」と言い、縫いぐるみをそっとなでた。

 佐藤さんも一昨年、愛梨ちゃんの赤い靴下で縫いぐるみを作ってもらった。「愛梨の服があるたんすは開けるのもつらい。でも、縫いぐるみだと不思議なことに眺めていてかわいい。毎日声を掛けている」と佐藤さん。同じ感覚を宮崎さんにも体験してもらおうと、靴下を預かった。

 佐藤さんは完成した縫いぐるみと一緒に、石巻市や仙台市で撮影したアルバム「花梨ちゃんのお散歩」も贈った。「佐藤さんは心の支え」と宮崎さん。「してもらったことを次の誰かにつなげる」と心に決めている。

 「災害で子どもが犠牲になるたび、私たちのつらい経験や教訓が生かされなかったと思うと悲しく、悔しい。一番大事な命を守るためにどう備えるのか社会に問い続けよう」。母親2人の絆が、さらに強まった。(宮崎あずさ)

(2018年7月26日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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