日本代表の新監督は何を語ったか…森保一氏、就任会見の全文書き起こし

26日、日本サッカー協会は記者会見を開き「森保一氏を新たな代表監督に招聘した」と公式発表した。

そこでは田嶋幸三会長による日本代表強化の方針、関塚隆技術委員長によるロシアW杯の分析結果なども発表された。

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今回は東京五輪に向けたU-23チームとの兼任という形でA代表を指揮することになった森保一監督のコメントについてお届けする。

森保一 「ここにお集まりの皆さん。今日はお忙しい中、記者会見に足を運んでいただきありがとうございます。

先程A代表の監督に就任させていただいたということはお伝えしました。兼任監督ということで東京オリンピックの代表チームも監督をさせていただきながら、日本サッカー界に貢献していければと思っています。

2つの代表を監督するのは本当に困難なことです。1人でやるのであれば不可能なことですが、日本サッカー界、日本代表を支えてくださる多くの方々の力をお借りしながらチームを作っていけば、不可能が可能に変わり、2つのチームを同時に見ていくことが大きな成果につながると思っています。

日本代表の監督をするにあたって、たくさんのことをしなければならないと思っておりますが、いくつかのことをお伝えします。

一つは日本代表の勝利のために。そして先程も田嶋会長、関塚技術委員長からもお話があったと思いますが、世代交代。年代間の融合を図るということです。

そして日本代表だけではなく、日本のサッカー界全体の発展に繋がるように。

私も多くの先輩方からバトンを受け継いできました。今私がやらなければならない任務を全うして、少しでもいい形で次の人へバトンタッチできるよう、今を全力で頑張っていきたいと思っています。

この2つの代表をやっていくには、覚悟が必要だと思います。多くの方に支えられて活動できることを感謝しながら、『覚悟と感謝』この2つの気持ちを持って職責を全うしていきたいです。

監督就任の会見ということで、もちろん所信表明ということで目標を語らないといけないと思いますが、あとで皆さんから質問をいただくと思いますし、今は感謝の気持ちがとても強いです。

こうやってすばらしい仕事をいただき、大好きなサッカーに携わって仕事ができるのも、ここにおられるお二人(田嶋会長、関塚技術委員長)、そして日本サッカー協会の皆さんの覚悟があるからこそ、私が2つの代表の監督をすることができています。

その覚悟に、期待に応えられるように、自分のすべてを出して、職責を全うしていきたいと思っています。

そして、日本サッカー界と日本代表を支えてくださっているファン、サポーターの皆様、日本国民の皆様、オフィシャルパートナーのキリン様、オフィシャルサプライヤーのアディダスジャパン様、サポーティングカンパニーの皆様の支えがあって、我々は活動できています。

皆様の支援に感謝します。そして、応援してくださる皆様の期待に応えられるように、全力を尽くして参りたいと思います。

私は少年時代から、今日こうやって日本代表の監督に就任させていただくところまで、本当に多くの指導者や関係者の方々に指導していただき、教育していただきました。

少年時代に指導、教育していただいた方々…私が高校を卒業して広島に出てサッカー選手を目指そうとした時、日本のサッカー界はアマチュアの日本リーグでした。

そこからJリーグができて、プロという夢を見させて頂いて、日本代表としてプレーしました。さらにその後Jリーグで監督をさせていただき、その経験があったからこそ、今ここにいられると思っております。感謝したいと思います。

現役を引退してから、広島の育成部で巡回コーチをしながら、日本サッカー協会でもトレセンコーチとして活動させていただきました。それは大きな経験になりました。

先程会長も仰っていましたが、いろいろなカテゴリの活動を見させていただきました。地方を回って、グラスルーツ(草の根)のところから、指導者の方々が…しかもプロでお金をもらってサッカーを教えている方々はわずかで、大勢は仕事もあり、家庭もあり、そして自チームの選手を見て、さらにトレセン活動、選抜活動をしていると。

ボランティアの精神で、自己犠牲の精神で活動してくださっている。そういう活動を拝見しました。

そのような方々の努力で選手が育ち、私が今仕事をしている日本代表や東京オリンピック代表に送り込んでいただいているということ。

全ての指導者の努力があって、そして環境を整えてくださる方々の努力があって、我々が素晴らしい選手を見ることができる。日本を代表して戦うことができる。それを忘れてはならないと思います。

そういう方々の気持ちを背負って戦うんだということは、常に肝に銘じていたい。

日本サッカー界にも長い歴史があると思います。多くの先輩方が本当に多くの努力をして、経験を積み上げてこられて、今の自分たちの活動がある。

日本サッカーに携わった、経験してこられた全ての方々に、尊敬と感謝の気持ちで、自分の仕事をしていきたいと思っております。

そしてまた、先程も言いましたが、そのような先輩方にしていただいたことを、次の人に繋げていきたい。バトンタッチしていけるようにしていきたい。

先日はロシアW杯をコーチとして経験させていただきました。西野監督は本当に凄い、素晴らしい監督だと思いました。

監督としての裁量はもちろん、いろいろな方々の歴史を、日本サッカー界の歴史を踏まえて、日本らしいサッカー、日本人の良さを生かしたサッカーということでチーム作りをされていました。

そして、ハリルホジッチ前監督から、西野さんは日本人に足りないところ、デュエルの部分やゴールに素早く向かっていく、それを日本人の良さにプラスアルファをしながらチーム作りをされていて、考えていることが大きくて、日本人にどうしたら合うんだろうということを常に考えてチーム作りをされていました。

そういう西野監督からバトンを受け継ぎ、日本人の良さを出して、戦い、世界と向き合っていきたいと思っています。

ただ世界だけ考える前にアジアがあります。我々はしっかりとしたチーム作りをして、アジアを戦い抜き、それから世界との戦いに向かっていきたいと思っています。

西野監督がやられた『オールジャパンで戦うチーム作り』を私も継承して、進化させていきたいと思っています。オリンピックでは2年間、次のワールドカップでは4年間、選手とスタッフとともに、最高のチームを作り上げていきたいと思います。

しかしながら、現場の選手とスタッフだけでは強い日本代表は作れません。ここにいられるメディアの皆さんを始め、日本代表を支えてくださる全ての皆さんの力を貸していただき、結集して、初めて世界に打って出られると思います。

どうぞ、我々と一緒に戦っていただければと思います。

常にその時のベストを尽くして戦っていきますので、支援、応援のほどよろしくおねがいします。そして一緒に戦っていただければありがたいです」

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