外国人労働者の本音は

 中小の工場が立ち並ぶ長崎市郊外で、しばしばアジア系の外国人男性グループを見かけた。語らいながら自転車で工業団地の中を駆けていく▲どこの国の人か、なぜ日本に来たのか、日本でどんな生活をしているのか。一度ぐらい話を聞いてみたかった▲恐らく、技能実習制度を利用して来日し、どこかの工場で働く人だったろう。働き手不足に悩む中小企業の中には、この制度を使って人手を確保する社もあるという。「新卒採用が難しい上、採用できた若者も長続きしないから」と外国人に頼る事情を経営者から聞いたことがある▲そんな中、政府が外国人労働者の受け入れ拡大を検討している。単純労働分野で働く人向けに新たな在留資格を設け、数十万人規模の受け入れを見込む▲少子高齢化が進む日本社会では、労働力人口は縮む一方。経済活動を維持するためには外国人でもいいから働き手を確保したい、というのが産業界の本音だ。その国の発展に役立つ人づくりという趣旨で設けられた技能実習制度では、とても間に合わないということだろう。違法残業などの問題も多く指摘されていた▲工業団地で見かけた彼らは、実際のところどんな気持ちで働いていたのだろう。給料には満足? 働く環境に不満はない? やはり一度は生の声を聞いてみたかった。(泉)

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