【熊本城のいま】石垣復旧熱帯びる議論

 「崩壊した石垣の(石材の)回収は進んでいるが、復旧に向けて石垣の設計図を合わせて作らないと間に合わない。小天守の石垣の設計図はいつできるのか」。20日、熊本市教育センターであった特別史跡熊本城跡保存活用委員会の文化財修復検討部会(12人)で、石垣の復旧に関して委員の一人が厳しく指摘した。

 石垣の復旧には、まず崩落したり、積み方に緩みが出たため解体した石が再利用できるかどうかの判断が前提だ。熊本市はこのため、(1)石の状態を石工が判断し、外部の文化財コンサルタントと市の文化財・土木専門の職員が使えるかどうかを決定(2)その決定に基づいて石垣の復旧図面を作成し、内容を文化財修復検討部会の石垣専門のグループ(4人)が指導する-の2段階の評価を設けている。その石は再利用できるのか、戻す場所は適当なのか、積み方は歴史的に妥当か、安全性は担保されているか-。多くの事柄を十分に議論するため、委員は市に対して早めの設計図づくりを提案している。

 また、再利用できないと評価されたものは、石工と外部の文化財コンサルタント、市の文化財・土木専門の職員が使い道を協議。石と石の間に詰める小さな石や、石垣の背面に詰める「ぐり石」として再利用するか、そのまま保管するのかを決める。

 これらの石の評価を経て、23日からは大天守の石垣の積みなおしが始まった。今後20年にわたる長い道のりの第一歩。「まずはここから。ここの経験は、ほかの石垣の積みなおしにも生かされていく」と市の担当者は感慨深げに語った。

 城内では多くの石垣が崩落し、膨らんだり緩んだりして全体の面積の約3割(約2万3600平方メートル)が解体される見込み。一方、城の外からよく見える坪井川沿いの長塀の石垣について、市は解体・修理しないことを提案した。理由は「軽微な変状は認められるものの、現況の石垣は安定を保っていると推察される」とした。

 ただこの提案についても、部会の委員からは長塀石垣にある3カ所の排水溝の周辺の状態や、城の内側にあるサクラの木の根の張り方が石垣に影響を与える可能性について指摘が相次いだ。「まだまだ(議論の)時間が足りない」と話す委員もおり、復旧に向けた石垣の議論は熱を帯びて続いていく。(飛松佐和子)

(2018年7月27日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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