現時点で柳田”濃厚”、山田“当確”、糸井も…トリプルスリー3人達成も!?

左からソフトバンク・柳田、ヤクルト・山田、阪神・糸井【写真:荒川祐史】

阪神糸井も今後次第で達成の可能性あり

 打率3割、30本、30盗塁を1シーズンで達成する「トリプルスリー」は、2015年の流行語大賞にもなった言葉だ。この年はソフトバンクの柳田悠岐、ヤクルトの山田哲人がダブルで達成。ともに両リーグのMVPに選出されている。今季、再び「トリプルスリー」が、注目される可能性が高まってきた。

 7月25日時点で、トリプルスリーの可能性があるのは以下の3人。現時点の成績と、最終の予測値を出す。

◯パ・リーグ
柳田裕岐(ソフトバンク)
現時点:318打数113安打24本67打点16盗塁 打率.355(1位)
予測値:544打数193安打41本115打点27盗塁 打率.355

◯セ・リーグ
山田哲人(ヤクルト)
現時点:316打数98安打23本50打点22盗塁 打率.310(7位)
予測値:530打数165安打39本84打点37盗塁 打率.310

糸井嘉男(阪神)
現時点:264打数79安打12本45打点15盗塁 打率.299(12位)
予測値:475打数142安打22本81打点27盗塁 打率.299

 柳田は盗塁がやや足りないが、トリプルスリーを意識してプレーをすれば、十分に可能な数字だ。柳田は2015年はトリプルスリーとともに首位打者も獲得。これは史上初の快挙だった。今季の柳田は、打率は1位、本塁打は西武の山川穂高を2本差で追いかけている。打点は山川と11差とやや開いているが、「トリプルスリーと3冠王」という前代未聞の記録さえ狙える位置につけている。2回目のトリプルスリーとなれば、山田哲人に続いて史上2人目だ。

 柳田にとって最大の敵は「故障」だろう。24日のロッテ戦でも首の張りを訴えて8回の守備から退いた。フルスイングが身上なだけに、故障のリスクがついて回る。

 山田哲人は今季、青木宣親の加入、坂口智隆のパワーアップ、バレンティンの復活などで、相手投手のマークが薄れ、息を吹き返した感がある。現時点で「当確」だ。本塁打は1位タイ、盗塁は1位。2015年に続き、トリプルスリーと本塁打王、盗塁王の可能性がある。

山田が達成すれば3回目、ボンズに並ぶ大記録

 山田哲人が達成するとすれば、3回目。これは史上最多。MLBでもバリー・ボンズしか達成していない大記録となる。また、同じ年に両リーグで達成者が生まれるのは、1950年の岩本義行(セ・松竹)と別当薫(パ・毎日)、2015年の山田哲人(セ・ヤクルト)と柳田悠岐(パ・ソフトバンク)に続いて3回目だ。

 阪神の糸井嘉男は、このままで推移すると3部門いずれも足りないが、今後の活躍次第では可能性が出てくる。7月31日に37歳になる糸井が達成すれば、1950年に38歳で達成した岩本義行に次ぐ高齢記録となる。糸井も今季は死球禍に悩まされており、体調は万全とは言えないが、彼の奮起が阪神の浮上の原動力になるだろう。

 今季も若い選手が次々とデビューしているが、若手選手の中にトリプルスリーを狙える逸材がいないのがやや物足りない。

 NPBのトリプルスリー達成者は10人、11回。最終的に何人が、このリストに名前を加えることになるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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