産総研とアイディエス、3Dプリンターで人工歯 コバルトクロム合金粉末使用

 産業技術総合研究所とアイディエスは、3Dプリンティング(三次元積層造形)技術を用いて患者に最適な人工歯(入れ歯)を製造する技術を開発したと発表した。

 3Dプリンティング用コバルトクロム合金粉末の薬事承認も国内で初めて承認を受けた。破損しにくく、患者に最適な人工歯を短時間で製造できる。今後はチタン材料での人工歯の開発なども目指す。

 今回開発した積層造形法は、歯科医院で口腔内のデータを取得し、歯科医師の指示に基づき、歯科技工処理を行い、患者に最適な形状の人工歯を設計する。設計データに基づき、医療機器として厚生労働省に登録された3Dプリンティング装置を用いて積層造形し、表面仕上げを行った後で使用する。

 同技術は、従来の歯科鋳造技術で必要なワックスなどの消耗品が不要で、積層造形に使用するコバルトクロム合金粉末が繰り返し再利用できるため、材料の無駄が少なく環境にも優しい。さらに、コバルトクロム合金の鍛造加工に比べ低コストで製造できる。製造期間も夜間に造形すれば次の日に仕上げ加工ができるため、従来の3分の1以下に短縮できる。

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