「選手はどこ向いてる?」―若手が伸び悩む阪神、山崎武司氏が指摘する問題点

阪神・金本監督【写真:荒川祐史】

金本監督は次々と若手を起用も…「恐怖感との戦いで若い選手が試合をやっている」

 セ・パともに空前の大混戦が続いているプロ野球。セ・リーグでは首位広島が独走しているものの、2位以下は団子状態となっている。昨季2位の阪神は現在5位に沈み、借金は6。一時は単独最下位に転落するなど、波に乗り切れていない。

 金本知憲監督は今季で3年目。就任当初から若手を積極的に起用し、「超変革」として話題となったが、期待していた選手たちが伸び悩んでいる。その理由について、現役時代に通算403本塁打を放った野球解説者の山崎武司氏は「若手が恐怖感と戦ってしまっている」と指摘。「もうプレッシャーを与えてやる時代じゃない」と話している。

 山崎氏はまず、阪神が乗り切れない理由について、「まあ打たんよね」と打線に問題があると分析。「金本監督は『代打オレ』と言ったほうがいいんじゃないか」と冗談交じりに語った。そのうえで、若手を我慢して起用することも必要だと説いている。

「金本監督は若手をめちゃくちゃ使うけど、飽きちゃうんだよね。全体的に若手のレベルはそれなりに上がっていると思うんだけど、1軍で戦えるメンバーとしてアベレージがあるかというと、全然ない。なぜかというと、『2軍に行かされる』『監督に怒られる』という恐怖感で若い選手がやっているから。

 チームの雰囲気がある意味でピリピリするのはいいんだけど、恐怖感との戦いで若い選手が試合をやっている。どこ向いて戦ってるの、という感じに見える。ご機嫌うかがいをして、試合をしているという状況になってるね、見ていて」

現在は解説者などを務める山崎武司氏【写真:岩本健吾】

「阪神には、他球団が喉から手が出るほど欲しい若手の野手がいっぱいいる」

 今季も植田海ら若手を起用しているが「全部が中途半端になっている」と山崎氏は言う。中日OBとして思わず本音もこぼれる。

「阪神には、他球団が喉から手が出るほど欲しい若手の野手がいっぱいいるよ。外に出たら活躍する選手が。いい選手はいっぱいいる。いらないんだったら、高山と中谷を中日にくれよ、と。若い選手がどっちを向いて戦っているんだ、というのが、ちょっと見ていて残念だね。

 ピッチャーがいるから試合にはなってるけど、どうなのかなと。1年間もたないよね。もうプレッシャーを与えてやる時代じゃない。ムチばっかりじゃダメ。どっちかと言ったら金本監督は厳しいから」

 ただ、これだけの混戦になっているだけに、セ・リーグはまだまだどうなるかは分からない。苦しんでいるのは阪神だけではなく、山崎氏は「みんな決め手がないよね。(広島以外の)5球団に関してはどんぐりの背比べ」と言う。広島は抜け出した形だが、「やっぱり丸の存在が大きいね。丸が復帰したらチームもピリッとした。だけど、カープもまだ分からんよ。他の5球団が勝って負けて勝って負けて、とやってるから、そこで広島が連勝した時に差をつけられている。でも、まだ分からないね」と見ている。

 阪神は期待の若手がしっかりと育ち、今年もクライマックスシリーズ(CS)に進むことができるのか。チーム力アップには、ある程度の「我慢」も必要だと山崎氏は見ている。(Full-Count編集部)

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