300年の伝統 きょうから「祇園祭」 西海の「行列」も参加 川棚

 東彼川棚町の伝統行事「祇園祭」(祇園祭世話人会主催)が28、29の両日、開かれる。今年は祭事が始まって300年目。29日のお上りに、西海市西海町の川内祇園祭の「大名行列遷宮囃子(せんぐうばやし)」も特別に加わり、節目に花を添える。
 全国各地にある祇園祭は、古代インドの寺院「祇園精舎」の守護神とされる牛頭天王(ごずてんのう)に疫病よけを願う神仏習合の祭事「祇園会(え)」が源流。明治期の神仏分離令で全国の祇園寺が神社に改称されたため、有名な「京都祇園祭」を始め、現在では神社が執り行うことが多い。
 川棚の祇園祭は、299年前の1719年に初めて「祇園会」が行われたと「大村郷村記」に記録があり、かつての神仏習合の形を今も残している。お下りは、牛頭天王を乗せたみこしが常在寺(中組郷)を出発。お旅所のある平島恵比寿神社(下組郷)まで練り歩く。
 常在寺によると、明治期の神仏分離令で牛頭天王の神体が別の神社に移された時期もあったが、当時の住職らの尽力で元に戻されたという。
 28日のお下りと29日のお上りは、いずれも午後2時から。常在寺の合川天心住職(75)は「『ぎおんさん』として親しまれる名物。300年の伝統を今後もつないでいきたい」と話している。

神仏習合の伝統が残る川棚町の祇園祭(2016年7月)

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