南阿蘇鉄道 部分再開2年 地元利用、軌道乗らず 観光頼みで経営厳しく

夏休み初日、観光トロッコ列車に乗車する親子連れらでにぎわう高森駅のホーム=21日、高森町

 熊本地震で被災した第三セクター南阿蘇鉄道(高森町)は31日、高森(同町)-中松(南阿蘇村)間の部分運行を再開して丸2年を迎える。道路網の復旧などで観光利用は回復しているものの、地元住民の利用は低迷。売り上げの落ち込みを補ってきた義援金も一巡し、経営は厳しい状況が続く。

 夏休み初日の21日、高森駅のホームは親子連れなどでにぎわった。お目当ては、夏休み期間中に毎日運行する観光トロッコ列車。予約状況は前年並みで推移しているという。

 全線復旧が見通せない中、観光客頼みの経営が続いている。2017年度の利用状況をみると、トロッコ列車を運行する8~11月の輸送人員は、前年実績を3~5割上回った。熊本市方面と結ぶ県道熊本高森線の俵山ルートや長陽大橋ルートが復旧したこともあり、大型バスで南阿蘇地域を訪れやすくなった団体客の利用が増えた。

 ところが12~2月は一転して前年比3~5割減に落ち込んだ。16年度に人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」のラッピング列車を運行し、観光客を集めた反動が出たからだ。安定的な利用が見込める地元客は反転の兆しが見えないのが実情だ。

 売り上げの落ち込みを補ってきた義援金も17年度は16年度の4分の1に減少し、今後の増加は見込みにくい。18年3月期の経常赤字幅はやや縮小したが、19年3月期は拡大に転じそうだ。

 経営の安定に向けて今後議論になりそうなのが、高森町鉄道経営対策事業基金の扱いだ。国からの交付金や沿線自治体の負担金で設立され、これまでも赤字補塡[ほてん]に充ててきた。ただ22年度の全線復旧までの赤字を埋めるには、現在の残高(3月末時点で1億6131万円)では不足する公算が大きい。新たな拠出に関しても自治体間で温度差が出る可能性がある。

 26日の「沿線地域公共交通活性化協議会」では、バスやタクシーなど駅からの2次交通の利便性を高める必要があるとの意見が相次いだ。地域住民の利用を促すために待ったなしの課題だ。(田上一平)

(2018年7月28日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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