入居者と接点、孤立防げ 豪雨災害「みなし仮設」支援を よか隊ネット熊本・土黒功司事務局長

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◇ひじくろ・こうじ 1978年、宇土市生まれ。熊本大大学院自然科学研究科修了。IT技術者として半導体企業に勤務した後、海外でワーキングホリデーなども経験。熊本地震の直後からボランティア活動に参加し、昨年10月から現職。地元の宇土市民有志でつくる「宇土飯を喰(く)らう会」代表。39歳。

 西日本豪雨の被災地では避難生活が長期化する中、みなし仮設住宅への入居手続きが始まった。アパートなどを借り上げるため早期に入居できるが、住み慣れた土地を離れた被災者に支援や情報が届きにくく、孤立を生むといった課題がある。一般社団法人よか隊ネット熊本(熊本市東区)の土黒功司事務局長に、熊本地震での課題や現状と、豪雨被災地に伝えたいメッセージを聞いた。(小多崇)

 -熊本でみなし仮設入居者の支援を続けています。理由は?

 「よか隊は地震直後に発足し、当初は車中泊の避難者支援や課題の掘り起こしに当たった。指定避難所に支援が集中する一方、車中泊は多発したにもかかわらず見逃されたからだ。同様に、建設型の仮設団地に比べ、みなしも支援の手が届きにくい。行政は『賃貸住宅だから普段の暮らしと同じだ』と考え、支援や見守りの対象としなかった」

 「実際は病気や障害がある人や単身の高齢者など支援を必要とする人が少なくない。地元から遠く、周りに知った人もおらず、生活再建の情報を共有したり、詳しい説明を受けたりする機会も乏しい。仮設団地に物資やイベントなど多くの支援が提供される様子を見て、疎外感を抱く人もいた。疎外や孤立は被災者の心身に与えるダメージが大きい」

 -みなし仮設では孤独死も相次ぎました。

 「行政が本腰を入れたのは、地震発生から1年近くたってから。みなし入居者と接点をつくれず、後手に回った。私たちも、みなし対象のイベントやサロン活動を続けてきたが、本当に困っている被災者を十分支援できている実感はない。取り残され感を抱いているのは(損壊家屋で)在宅生活を続けてきた被災者も同じだ」

 -今回の豪雨災害では、みなし仮設が多くなりそうで、在宅被災者も目立ちます。行政や民間に何が求められますか。

 「行政は、今のうちから被災者や支援団体との接点づくりに努め、被災者が話したり、集まったりできる機会をつくってほしい。地域で従来開かれているサロン活動への参加を促したり、みなしや在宅の被災者がいつでも立ち寄れるよう、被災地の公民館を早く復旧したりするなど工夫できるはずだ」

 「行政の手が回らないとすれば、そこはボランティアが担える。力仕事は無理でも、支援に貢献したいと考えている地元の人もいるだろう。しかし、みなしや在宅の被災者の状況は民間ではつかみにくく、支援の広がりを欠く。それが熊本地震の教訓だ。今後想定される南海トラフ巨大地震では、県境を越えた広域避難とみなし入居が膨大な数になると見込まれる。今回の豪雨災害で、支援の在り方を見直してほしい」

(2018年7月29日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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