イスラエル兵平手打ちした16歳少女、英雄か売名行為か

By 太田清

イスラエル兵に抗議するタミミさんら。フェイスブックから

 ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区で昨年12月、イスラエル兵2人に平手打ちを加えたり足で蹴ったりしたとして、暴行などの罪で禁錮8月の有罪判決を受けたパレスチナ人少女(17)が30日までに、釈放され自宅に戻った。平手打ちの様子は母親がフェイスブックに投稿し拡散。少女は「イスラエルへの抵抗運動のシンボル」としてもてはやされたが、イスラエル側では「扇動目的の売名行為」との批判も上がっている。英BBC放送などが伝えた。 

 少女はアヘド・タミミさんで多くの住民らが歓迎する中、自宅に帰り「イスラエルの占領が終わるまで抵抗は続く」と語った。前日には、タミミさんをたたえパレスチナ自治区ベツレヘムの分離壁にタミミさんの巨大な肖像画を描いた2人のイタリア人活動家が器物損壊の疑いで逮捕された。 

 当時16歳だったタミミさんは昨年12月15日、自宅前にいたイスラエル兵に出て行くよう要求。兵士を蹴ったり平手打ちしたりした。銃などで重装備した兵士らは相手にしなかったが、映像が拡散したことでイスラエル当局はタミミさんの行為をイスラエル兵に対する「攻撃」と認定し、タミミさんを逮捕し訴追した。 

 イスラエル側は兵士を配備したのはパレスチナ人によるイスラエル軍への投石を防ぐためだったと主張。一方、タミミさんはイスラエル兵への乱暴行為に及んだ理由について、15歳のいとこがイスラエル兵のゴム弾発射を受け、けがをしたことに対し憤慨したと述べていたが、イスラエル側は否定している。 

 タミミさんの訴追後、パレスチナ自治区の街頭には、多数のタミミさんのポスターなどが貼られたほか、釈放を求めて父親が開設したオンラインのページには、170万人が署名した。 (共同通信=太田清)

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