WRC:トヨタ、ホームのフィンランド連勝。マキネン「オットは信じられないような走りを続けた」

 7月26~29日に行われたWRC世界ラリー選手権第8戦フィンランド。3台のトヨタ・ヤリスWRCを投入したTOYOTA GAZOO Racing WRTは首位を快走していたオット・タナクがシーズン2勝目を獲得、エースのヤリ-マティ・ラトバラも3位表彰台を手にした。昨年の大会覇者であるエサペッカ・ラッピは最終日最初のステージ終盤でクラッシュしてリタイアしている。

 フィンランドにファクトリーを構えており、ラリー・フィンランドをホームイベントとして臨んだトヨタ陣営。初日からトップを守る走りをみせてきたタナクは、40秒近い大量リードを築いて競技最終日に挑んだ。

オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

 競技最終日、タナクは充分なマージンをもとにオープニングのSS20~22まではリスクを避けた走りに徹すると、ステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージの最終SS23では猛プッシュ。ステージ2位につけた総合2番手のマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)に0.5秒差をつけてステージ最速タイムを刻むとともに、第5戦アルゼンチン以来となるシーズン2度目の総合優勝を達成した

 トヨタはこれで今季2勝目、2017年のWRC復帰からは通算4勝目。ポイントランキングではタナクがランキング首位のティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)と46点差、ランキング2位のセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)と25点差に詰め寄ったほか、チームランキングではトヨタがランキング2位のMスポーツ・フォードに1点差まで迫っている。

最終ステージ完走直後、マシンのルーフに上がって喜びを爆発させたオット・タナク(右)とマルティン・ヤルベオヤ(左)、チーム代表のトミ・マキネン(中央)

 タナクは最終ステージを走りきり優勝を決めた直後、走りを見守っていた妻とキスを交わして喜びを分かち合ったほか、チーム総代表を務める豊田章男トヨタ自動車社長やチーム代表のトミ・マキネンとともにヤリスWRCのルーフに登って喜びを爆発させた。

「すべてが自分が望んだように進み、完璧な週末となった」とタナク。

「金曜日は早い出走順によってかなり苦労したけど、その後はリードを拡げていくことができだ」

「完璧な準備をしてラリーに臨み、チームも手厚くサポートをしてくれた。すべてがひとつになれば、このようないい結果が得られるんだ」

ラリー・フィンランドを制したオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)

「僕にとってホームイベントのようなこの1戦で、フィンランドに拠点を置くチームとともに挙げた優勝は特別なもの。そして、サポートしてくれた人々の前での勝利は格別な気分だ」

■ラトバラは逆転ならずも第1戦以来の表彰台。若手ラッピは無念のリタイア

 総合2番手と5.4秒差の総合3番手で最終日に臨んだラトバラはSS21~22でステージ優勝を飾り、ギャップを2.5秒まで縮めたものの、最終SSでの逆転は叶わず。それでも第1戦モンテカルロ以来となる表彰台フィニッシュを飾った。

 一時は総合8番手までポジションを落としたものの、総合4番手までポジションを挽回してきたラッピは、この日最初のSS20フィニッシュ直前にクラッシュ。マシンフロントを破損して走行を続けることができなくなり、リタイアを余儀なくされた。

 なお、この週末、トヨタ所属の3ドライバーは全23SS中18SSでトップタイムを刻む圧倒的パフォーマンスを披露。高速グラベル(未舗装路)ラリーでマシンが高いポテンシャルを秘めていることを証明した。

 チームの指揮を執るマキネンは「何という週末、何というラリーだろう!」と喜びを語った。

オット・タナクを祝福するトミ・マキネン

「我々にとって本当に素晴らしい瞬間だった。特にオット(タナク)は、信じられないような走りを続け、最終のパワーステージでも勝利した」

「また、最終ステージまで2位の座を競い続けたヤリ-マティ(ラトバラ)の戦いも素晴らしかったと思う。彼の2位浮上は叶わなかったが、それでも我々にとってのホームイベントでこのような良い結果を得られたことに、とても満足しているよ」

 次戦のWRC第9戦は8月16~19日に行われるラリー・ドイツ(ラリー・ドイチェランド)。第4戦ツール・ド・コルス以来となるフルターマック(舗装路)イベントで、風光明媚なぶどう畑の中や軍事演習場内、峠道などバラエティに富んだステージで争われる。

豊田章男社長はチームのエースドライバー、ヤリ-マティ・ラトバラの走りも称賛

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