海上パークに徹夜音楽イベントまで…ホークスが野球と無関係の事業も手掛けるワケ

8月26日までの夏休み期間、「ホークス サマースプラッシュ」が開催【写真:藤浦一都】

オールナイトの音楽イベントも開催、ホークスが新たなエンタメ戦略を目指す理由

 28日、ヤフオクドームの北側のビーチで「ホークス サマースプラッシュ」が始まった。このイベントはホークスによる「野球以外のエンタメコンテンツ」の先鋒的な役割を果たす。ホークスが目指す新たなエンタメ戦略とは……。

 8月26日までの夏休み期間、「ホークス サマースプラッシュ」には浮遊感たっぷりのスライダーや海上に浮かぶアスレチックなど、さまざまなアトラクションが設置される。入場料は大人2300円、中学生までの子どもが1500円で、海上アトラクションの利用は別途500円が必要だ。28日には、ハリーホークやハニーズらが会場に駆けつけて華やかなオープニングセレモニーが開催されるとともに、隣接ビーチではランナーたちが泡まみれになって走る「バブルラン」も開催された。

 これらのイベントを仕掛けたのは、福岡ソフトバンクホークス株式会社が6月に立ち上げた部署、新規事業推進本部。簡単にいえば野球というコンテンツに縛られることなく、新たなエンターテインメントを提供していくセクションだ。

 さらに同部署は、8月18日にヤフオクドームで「MUSIC CIRCUS FUKUOKA」を開催する。このイベントは世界的なクラブ系アーティストが一堂に会して大音響とド派手な照明で楽しませる関西生まれの巨大音楽フェスで、ヤフオクドーム史上初のオールナイトで開催される。

 では、なぜホークスが野球に関係のないエンタメ事業を手掛けるのか。福岡ソフトバンクホークスの吉武隆取締役兼執行役員は、ホークスがこのようなイベントを手掛ける意図をこう語る。

「野球を超えたところでたくさんの方々に楽しんでいただくために、福岡におけるエンタメの拠点となることを目指して新規事業推進部を設けました。『サマースプラッシュ』は、その出発点となるイベントです。野球事業では1シーズンで250万人のお客様に楽しんでいただいていますが、それでも我々が取り込めていない若い世代やファミリー層はたくさんいらっしゃいますから、そういう方々に向けて楽しさを提供していきたいのです。新ビルのこともありますね」

 吉武氏がいう「新ビル」とは、2020年にヤフオクドームの敷地内に新設される「エンターテインメントビル(仮称)」。このビルには、現在ヤフオクドームの外野席上部にある「王貞治ベースボールミュージアム」を移転させることが決まっているが、さらには「スポーツ・知的好奇心に新たなテクノロジーを加えたエンターテインメント施設、食のエンターテインメント施設など、革新的なエンターテインメントコンテンツを展開していく」としている。

球界をリードしてきたノウハウを活かして

 ホークスは巨人、阪神に続く12球団3位の観客動員を誇っているが、ヤフオクドームの改修を行うにしても伸ばせるキャパシティには限界がある。加えて1シーズンの主催試合数も決まっているため、野球事業でこれ以上の広がりを期待するのは困難だ。観客動員数を維持するために、これからもさまざまなファンサービスに注力しつつ、野球以外のエンタメ界にも事業を拡大していこうとしている。

 来場者にレプリカユニフォームを配布する「鷹の祭典」も今年で13年目。福岡ダイエー時代を含めれば15年にも及ぶ。また「女子高生デー」からグレードアップした女性ファンのための「タカガールデー」も、今では同様の企画が球界のスタンダードになるなど、ホークスはイベント面で常に球界をリードしてきた。その先見性とノウハウを活かして、エンターテインメント界へと進出していく。

 九州地区では「ホークス サマースプラッシュ」「MUSIC CIRCUS FUKUOKA」「鷹の祭典2018」を含めて「MADE IN HAWKS」というコピーとともにテレビスポットを流してきた。「MADE IN HAWKS」は「あれもこれも、実はホークスが手掛けたイベントなんですよ」ということ集約したキャッチフレーズでもある。

 ここから2020年の新ビルオープンに向けて、どのような「MADE IN HAWKS」が登場してくるのか。ペナントレースでは厳しい戦いが続いているホークスだが、新規事業推進部の戦いはこれからだ。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

© 株式会社Creative2