台風12号の高波や高潮で、湯河原海水浴場(湯河原町吉浜)に建てられた海の家12棟と警備本部の小屋が全壊し、経営者らが30日も朝から、がれきの撤去作業に追われた。原形をほぼとどめていない壊滅的な状況に、今夏の再開を断念する経営者もいる。
木材や鉄骨、破損したデッキチェアやテーブル…。重機で海岸の一角に運ばれ、積み上げられるがれき。流されず、砂浜に取り残された冷蔵庫やコンロもある。
町観光課によると、同海水浴場には昨年、11万4千人が来場。今年は14日に海開きをしたばかりで、12軒は海沿いを走る有料道路「真鶴道路」の高架下付近で営業していた。
海の家の男性経営者(70)は28日午後7時半ごろ、仲間からの連絡で、慌てて海岸に駆け付けた。「午後6時まで波は大したことがなかったが、戻ったら真鶴道路の50センチ下まで波が押し寄せていた」と男性。今後再び台風が来る可能性を考慮し、今夏の営業を断念したという。
一方、別の海の家の女性経営者(73)は、規模を縮小して営業を再開するつもりだ。「皿1枚も残っていない。この場所で47年間営業しているがこんなのは初めて。でも再開の準備をしていますよ」と気丈に語った。
町は8月2、3の両日に開かれる「やっさまつり」に合わせて海水浴場を再開させるため、一両日中にがれきの撤去を終え、海中や砂浜の安全も確認したい考えだ。一方で、海の家再建には200~300万円掛かる上、保健所の許可を取り直す必要があるなど、営業再開にはいくつもの困難が伴うという。