<諫干 開門確定判決「無効」> “宝の海”再生どこへ 漁業者側弁護団が高裁批判

 「有明海の再生について考えていないという、高裁の“宣言文”だ」-。国側の請求を認め、開門を求めた漁業者側の逆転敗訴となった30日の福岡高裁判決。閉廷後の報告集会で、開門派の馬奈木昭雄弁護団長は約30分間にわたり、国の主張を追認する高裁の姿勢を批判した。

 高裁は和解協議で、国の有明海再生に向けた100億円の基金案を「状況を打開する唯一の方策」とし、国の非開門方針を支持。開門派が求めた開門前提の協議は俎上(そじょう)に載らなかった。馬奈木団長は「高裁も含め、誰一人、今日の判決で有明海の再生に向かうと思っていない」と語気を強め、「行政の権利を守ろうとしている。あまりにずさんな恥ずかしい判決」と酷評した。

 判決で争点になった共同漁業権の消滅について、弁護団は、10年一区切りの考え方では船も後継者もつくれないと指摘。弁護団の堀良一事務局長は「(困っている)漁業者が裁判を起こす道を閉ざそうとする判断だ」とした。

 確定判決の原告の一人、島原市有明町の漁業者、篠塚光信さん(59)は「負けたが、決してあきらめない。開門しなければ有明海の再生はない。気持ち新たに闘っていく」と訴えた。

報告集会で国の対応を厳しく批判する馬奈木弁護団長(中央)ら=福岡市内

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