ネットで出会った初対面の男に触られた

 マッチングアプリのリアル(2)

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 手軽にたくさんの人と連絡を取ったり、出会ったりできるマッチングアプリが話題に上ることが増えた。どんな人が使っているのか。本当に会えるのか。危ない目に遭うことはないのか―。同年代の友人が使っているのを聞いたこともあり、興味があった。

 喫茶店でジュースを飲みながら話を聞いたのは、三重県に住む大学4年の田中愛菜(たなか・まな)さん(22)=仮名=。身ぶり手ぶりが大きく、よく笑う表情が印象的。かわいらしい女性だ。年上の異性の私にアプリでの体験を包み隠さずに教えてくれた。

彼氏おらず、誘われて

 昔から男女の分け隔てなく友達になるタイプだった。中学校の頃はアニメやボーカロイド(合成音声)の曲が好きで、共通の趣味をもった男女のグループでいつも遊んだ。中学では初めての彼氏もでき、今まで3人にも告白された。恥ずかしそうに「好きかも」と言われたのはいい思い出だ。

 マッチングアプリを始めたのは2018年1月。忙しかったサークル活動を引退して、彼氏と過ごしている友達が楽しそうに思えた。しばらく彼氏がいなくて、友達に誘われたこともあって2種類のアプリをダウンロードした。

 男とは「今からご飯行こう」というような投稿に返信するとやりとりが始まるタイプで知り合った。双方の同意がなければメッセージが出せないもう1種類とは異なり手軽だ。年上が好きで登録している男性の年齢層が30代が多かったことは良かった。

 男から初めて連絡が来たのは会う2日前。アプリを介して「楽しくさせるのが得意」とメッセージがあり、通話して会う約束をした。声フェチなこともあって渋い声が好印象。アプリでの名前は「イケメン紳士」で顔写真もなかった。「うさんくさいけど、面白そうな人だな」。アプリを使って会うのは初めてだった。

2人きりの車内で

 三重県内に珍しく雪が降った18年2月。「雪でこれ以上登れない。夜景見られなくてごめん」。田中さんに38歳の会社員という男はそう言った。待ち合わせをして車に乗った市街地から1時間ほど走った工業団地内の駐車場に白い大型セダンを止めた。周囲は暗く、木々に囲まれ車や人通りはほとんどない。「一人では帰れない。危ないかも」。そう思っていると、男は助手席を倒して覆いかぶさってきた。

 「なんでこんなことするの」と抵抗した。男は「かわいいから」としか答えず胸などを触り続けた。相手の手を振り払ったり、「生理だから」とうそをついたり。どこを触られても「痛い」と声を出して相手の気持ちをなえさせようとした。1時間程度で男が射精し、終わった。

 男は帰り道もおしゃべりを続けた。駅まで車で送ってもらい、そこで別れた。「バイバイ、またね」。すぐに連絡先をブロックした。最後までされたわけじゃない、と被害届は出さなかった。

見極められなかったのが失敗

 嫌な思いをしたのはアプリのせいじゃない。結局、約2カ月間で24~38歳の社会人や大学生計20人と会った。出会った他の男性は良い人だったし、危ない目にも遭っていない。男性を見極められなかったことが失敗で、初対面の異性の車に乗ったことを悔やんでいる。

 最近は出会うことに疲れて使っていないけど、広く相手を選ぶことができるアプリは便利だからまた使うかもしれない。「西島秀俊(にしじま・ひでとし)のような年上の男らしい顔つきの人が好き。いちずな性格の人がいい。将来は子供が4人ほしいな」と夢見ている。(共同=真野純樹25歳)

取材を終えて

 「マッチングアプリ、実は私もやっててさ。何人か会ったよ」。飲み会の席で大学時代からの女友達の告白に驚いた。サークルや旅行、と活発でよく笑う彼女。「正直、モテるのになぜ」と興味がわき、取材してみることにした。今回話を聞かせてもらった女性の「ナンパや飲食店での出会いでも同じことは起こりうる」という言葉には納得したが、アプリを使って嫌なことが起こったことは確かだ。ではどうしたらいいのか。人が傷つく出会いは避けられるのか。運営会社は役割を果たしているのか。課題が浮かんだ取材だった。

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