【特集】聖火リレー、復興の象徴に

IOC調整委員会のコーツ委員長

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インタビューに答えるIOC調整委のジョン・コーツ委員

 2020年東京五輪の準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長(68)=オーストラリア=が共同通信のインタビューに応じ、大会開幕まで2年の現状を「及第点」と評価した上で、運営面での成功の鍵として交通輸送の課題も指摘した。(聞き手は共同通信運動部記者・田村崇仁) 

 ―聖火リレーの出発点は福島県に決まった。

 「福島からのスタートは『復興五輪』の象徴として大会の素晴らしいメッセージの一つになる。大会の理念であり、これ以上の場所はない。この決断に感謝している」

 ―開幕まで2年。準備状況はどう判断するか。

 「大会運営に本腰が入り、非常に喜ばしい状況だ。何が重要か、選手や国際競技連盟(IF)からも意見交換しながら答えを得ている。だがやるべき仕事はさらにある。例えば新種目の都市型スポーツが集まる臨海部の『アーバンクラスター』は事実上の五輪公園となるが、大規模エリアで観客の流れや警備のモデルがまだ十分できていない」

 ―「アーバンクラスター計画」の意義とは。

 「バスケットボール3人制やスポーツクライミング、スケートボードなど新種目の実施で若者の参加を促し、家族連れでお祭り気分を味わえる祝祭空間にできる。シドニー大会でもそうした場所が数多くあった。会場を遊歩道でつないで暑さ対策の日陰も設置し、人々が集まる象徴的な場所にする構想だ。入場券も手ごろな価格で楽しめる工夫を凝らしていく」

 ―最大の懸念は何か。

 「交通輸送だ。首都圏の渋滞対策を含め、特に選手や観客が地下鉄やバスで会場に確実に行けることが重要になる。電車や車の事故も想定しておく必要がある。広域開催になり、最寄り駅から会場へのシャトルバスもきめ細かな対応が重要だ」

 ―4月の国際会議ではIFから会場の準備遅れなどで批判も出た。

 「神奈川県藤沢市の江の島が会場となるセーリングなどでテスト大会への懸念も出たが、組織委とIFが協議を重ねて改善していく次のステージに入ったということだ。問題を解決するメカニズムは分かっている。日本はIFで責任を担う人材がまだ多くないが、さほど心配はしていない」

 ―暑さ対策はどうか。

 「マラソンや競歩の屋外競技は早朝にスタートするのはそのためだ。夏の五輪はどこも暑さは厳しいが、特に日本は特有の蒸し暑さがあり、待っている観客のことも考えないといけない。大型の扇風機、水のスプレーを設けることも聞いた。医療チームも備え、多面的な準備が大事になる」

 ―2度目の東京でどんな五輪を期待するか。

 「選手ファーストの視点が最優先事項だ。IOCのバッハ会長が推進するコスト削減を最大限に図り、新時代にふさわしい五輪改革の第一歩にしたい。東京には既存の施設や交通網がある。インフラ整備に巨費を投じた過去の五輪とは明らかに違う成熟都市だ。大会はその国の文化を反映し、素晴らしい文化が日本にはある。半世紀前のレガシー(遺産)を生かし、次世代のモデルになる大会を実現してほしい」 

ジョン・コーツ氏 元ボート選手の弁護士でオーストラリア・オリンピック委員会会長。00年シドニー五輪の成功に貢献した。01年に国際オリンピック委員会(IOC)委員に就任し、12年ロンドン五輪と16年リオデジャネイロ五輪で調整委員会メンバー。IOC副会長も歴任し、20年東京大会の準備状況を監督する調整委の委員長を務める。シドニー大卒。68歳。