強風時にドアを開けたら隣のクルマに「バーン!」思わぬトラブルを防ぐ方法とは?

※写真はイメージです

もう夏真っ盛りですね。夏といえば、日本では台風が多く発生・接近する季節でもありです。台風の恐ろしいところは、大雨を降らせることだけではなく、強風も一緒に連れてきてしまうところ。台風から離れた地域でも強風域(平均風速が秒速15m以上)や暴風域(平均風速が秒速25m以上)になってしまうことも珍しくありません。

そんな強風が吹いているときに気を付けたいのが、ドアの開閉です。いつもの感覚でドアを開けた瞬間に強風が吹き、ドアが一気に持って行かれた経験がある人も少なくないのではないでしょうか?

そこで今回は、JAFユーザーテストから、強風時のドア開けについてチェックしてみましょう!

大人でも強風時にドアを保持することは難しい

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テストでは送風機を用いてドアに強風が当たるよう再現し、風速は秒速20m・秒速30m・秒速40mの3つのパターンで試しています。ちなみに、秒速20mは一般道の自動車並みの速度、秒速30mは高速道路の自動車並みの速度、秒速40mは特急電車並みの速度で、走行中のトラックが横転してしまうほどの強風となります。

今回は6歳男児と10歳女児、30代女性と40代男性の計4名でテストを行っていますが、子どもは秒速20mでドアを押さえることができず、30代女性も秒速40mで、40代男性は秒速30mでそれぞれ押さえることができなくなってしまいました(すべてドアグリップを用いて保持)。

テストはコンパクトカーのリアドアで実施していますが、これが2ドアクーペのようにドアの面積が大きいものではより強い力を受けることとなりますから、一層の注意が必要ですね。

強風で煽られたドアが隣のクルマに当たったら?

※写真はイメージです

続いてのテストは、同じく秒速20m・秒速30m・秒速40mの3パターンの風速で煽られたドアが隣のクルマに当たってしまったシチュエーションを再現しています。この結果を見ると、秒速20mでも明らかにボディに凹みができ、秒速40mでは「ベッコリ」という表現がピッタリなくらいドアがへこんでしまいました。

相手車両へのダメージについては、鉄板の厚さや当たる場所などによっても変わってきますが、板金修理が必要となるダメージを与えてしまうことになるようです。自車両がトラックやSUVのように背の高いもので、相手がスポーツカーのように車高が低い車両だった場合は、ドアガラスにヒットして窓を割ってしまうなんてこともあり得そうですね。

じゃあ強風時はどうやってドアを開けるのが正解なの?

大人の場合は、ドアレバーを引きながら少しだけドアを開け、風の強さや後方を確認しながら、ドアグリップではなくドアの縁の部分を持ち、大きく開かないように押さえます。そして、両手でドアを抑えながら少しずつドアを開け、ゆっくりと車外に出ます。一気に開けるとドアが煽られるので、必要最低限だけ開けるのがポイントです。場合によっては一旦窓を開け、風の吹く方向や強さを確認することも大切でしょう。

一方、子どもの場合は、一人でドアを開けるのは危険なため、大人がしっかりドアの開閉をしてあげることが大切です。急にドアを開けられないように、チャイルドロックを使うのもアリかもしれません。

強風時のドア開閉は大人も子供も気を付けよう!

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強風時は大人でもドアを押さえられないことがあるので、ドアの開け方に注意しましょう。特に子供は勢いよく開くドアによって体のバランスを崩し、車から転落することもあるので、大人が外からドアを開けてあげることが大切です。

なお、実際の突風や台風による強風はさらに強いエネルギーを持っており、周囲に車や障害物がなくても、ドアが開ききってヒンジ(ドアを開閉させる部品)が壊れることもあるので注意しましょう。ドアヒンジが破損してしまうと、修理代は意外と高額になってしまいます。

こういったテスト結果を見てしまうと、なるほどファミリーカーにスライドドア車が好まれる理由も分かるというもの。逆に強風時にショッピングモールなどの屋外駐車場に駐車するときは、スライドドア車の隣に停めるなどの自己防衛も必要と言えそうです。

[TEXT:小鮒康一]

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