原水禁 来月に訪朝団 被爆者調査、非核化で意見交換

 原水爆禁止日本国民会議(原水禁)が、広島、長崎で原爆に遭った北朝鮮の被害者の実態調査や、米朝首脳会談を受けた非核化などを巡る政府関係者との意見交換のため9月6~13日に北朝鮮へ調査団を派遣することが分かった。原水禁が本格的な調査団を派遣するのは2008年以来。調査結果を踏まえ、日本政府に北朝鮮の被爆者援護などを要請する方針。
 調査団には、原水禁の川野浩一議長(県平和運動センター被爆連議長)ら8人が参加する予定。
 原水禁によると、北朝鮮政府関係の団体「反核平和のための朝鮮被爆者協会」が08年に発表した北朝鮮の被爆者数は1911人。このうち生存者は382人だった。だがこの数には、広島や長崎で光や煙を見た、と答えた人も含まれるなど被害の実態は不明という。
 長崎市援護課などによると、市が被爆者健康手帳を交付した北朝鮮の人は同協会のメンバーである女性1人だけ。1992年に来日した際、取得した。同課によると、この女性から申請がないため被爆者援護法に基づく手当などは給付していない。今回の調査団メンバーである在朝被爆者支援連絡会の福山真劫事務局長は「北朝鮮の被爆者も高齢化し亡くなっていく。早急に実態をつかみ、対策を施すべき」と訴える。
 調査団は、4月の南北首脳会談や6月の歴史的な米朝首脳会談を受け、北朝鮮側に非核化の取り組みなどについて意見を求める方針。9月9日の建国記念日のセレモニーにも参加する。
 南北首脳会談後、モスクワで北朝鮮政府関係者も交え専門家の会合を開いた長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の鈴木達治郎センター長は、訪朝団派遣について「政府間の対話では限界。さまざまな民間レベルの交流を重ねることが重要で、信頼関係を構築できる。ひいてはそれが核廃絶につながる」と話した。

© 株式会社長崎新聞社