【共英製鋼、鉄筋の商習慣見直し】大型物件契約は原則1年 出荷開始時期など明確化

 鉄筋棒鋼最大手の共英製鋼(本社・大阪市、社長・廣冨靖以氏)は31日、鉄筋棒鋼の商習慣について、契約時期・納期(スタートとエンド)・価格・数量など契約内容を明確に管理して(1)プロジェクト物件契約は出荷開始時期が明確な物件のみ対応(2)合意した契約内容に差異が生じた場合は契約内容を見直す(3)納期遅延物件も契約内容を見直す(4)今年度下期よりネジ節鉄筋等の大型プロジェクト物件の契約(納期)は原則1年以内とする―など見直し・強化を実施すると発表した。

 原料・資材の価格変動リスクや、建設工事遅延等で発生する製品納期などの契約不履行に伴うリスクなどを低減して安定生産・安定供給に向けた適正な商取引を定着させていく。

 鉄筋の商習慣見直しでは、JFE条鋼が4月契約から納入期日を3カ月・6か月・12カ月の3形態で契約する形に切り替えたほか、合同製鉄も10月1日から受注期間を1年間に区切る販売契約を実施するなど、価格変動リスクを回避して適正な商取引を促進する動きが広がっている。

 共英では5月に商習慣見直し方針を打ち出し、社内などで商習慣の現状と契約概念の再認識および今後の受注の在り方など検討を進めてきた。

 鉄筋各社はこの数年間、原料高と製品価格の伸び悩み、副資材や輸送費の上昇などで収益が大幅に悪化。前3月期決算では多くの会社が赤字を強いられている上、今期も厳しい経営状況が続いている。先物受注の取引が多い鉄筋メーカーにとって契約内容の明確化と完全履行など商習慣を適正化することで、原料など価格変動リスクを低減して採算安定化を図る狙いがある。

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