脱線防止へ”硬い”対策 熊本電鉄が枕木を高耐久コンクリート製に交換へ

熊本電鉄の普通列車が脱線した現場付近の線路。現在は全てコンクリート製の枕木に交換された=27日、熊本市中央区坪井

 昨年2月、木製枕木の経年劣化などが原因で、脱線事故を起こした熊本電鉄(本社・熊本市中央区)が、耐久性の高いコンクリート製枕木への交換を進めている。同社は、再発防止のため今後10年をかけ、全ての枕木をコンクリート製に取り換える方針だ。

 同社や運輸安全委員会の報告書によると、事故は普通列車(2両編成)が中央区の藤崎宮前駅を発車した直後に発生。急な右カーブで先頭車両の車軸4本のうち、前方の2本が脱線した。枕木が傷み、レールを固定するくぎが緩んでいたため、カーブを走行する車両の遠心力などでレールの間隔(軌間)が広がったことが原因だった。

 木製枕木の劣化などによる脱線事故は、全国で相次いでおり、国土交通省は6月、全国の第三セクター鉄道や中小私鉄など116事業者にコンクリート製への交換を進めるよう指導。県内では同社と南阿蘇鉄道、くま川鉄道、肥薩おれんじ鉄道が対象で、いずれも数年前から計画的に交換を進めているという。

 熊本電鉄の路線総延長約13キロにある枕木は計約1万7千本。同社は5年ほど前からコンクリート製への交換を始めていたという。松村友記取締役鉄道事業部長は「計画的に取り組んでいたが、交換前の区間で脱線事故を起こしてしまい大変申し訳ない」と話す。事故現場付近を含め、現在は4割に当たる約7千本の交換を終えた。

 同社によると、コンクリート製は木製の約2倍に相当する50年以上の耐用年数がある。枕木とレールを金属製の留め金で固定し一体化できるため、軌間が広がりにくく、脱線しにくい構造だという。

 問題は経費。木製に比べて高く、路線下の砕石の交換も含め、枕木千本で7千~8千万円かかる。国や沿線自治体の補助で、事業者の負担は3分の1だが、「年間売上21億円余りの企業にとって大きな負担だ」と同社。

 同社が全区間の交換を完了するには、あと10年ほどかかるという。松村部長は「二度と脱線しないようハード面の改良や技術者の点検能力の向上など万全の安全対策を講じたい」と再発防止を誓う。(前田晃志)

(2018年8月1日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

©株式会社熊本日日新聞社

紙面を彩った火の国球児たち

「夏の甲子園100回」を記念し、熊本出身のスターたちの〝球児〟時代を取り上げます。 第3弾は「打撃の神様」と呼ばれた川上哲治(熊本工出、人吉市出身)です。

ご購入はこちらから