【新日鉄住金グループ企業の〝今〟37】〈東海鋼材工業〉加工事業設備増強で多様化推進 管理者のレベルアップ図る

 東海鋼材工業は、来年創業75周年を迎える東海地区鋼板加工の先駆者的な会社。現在は鋼板加工に加えて、亜鉛めっき加工、照明柱・鋼管柱の加工(日鐡住金建材から委託)を手掛けるパンザーマスト部門の3本柱で展開する。

 同社は1944(昭19)年に名古屋市内に地元商社の出資により航空機の部品・治具の製造や鉄骨・鉄筋の製作、建設工事の請負を行う会社として創業。

 52年に鋼板加工部門を設置、58年に豊田自動織機との取引を始めている。

 鋼板加工部門は、建産機向けの加工が全体の60%以上。部門売上高は全体の約5割。月間加工量は2千トンを超す状態が続く。

 足元の課題は、加工の強化。領域拡大を進めて付加価値を高めるとともに、生産効率の向上に取り組む。これまでに生産性向上策として、精整部門の集約、レーザ、プラズマ切断機の増強・更新を実施。工場内物流の整流化と溶断工程能力向上・品質厳格化対応を推進してきた。

 さらに最近では、設備の再配置とテントハウス新設による物流改善、穴あけ加工機、開先加工機の老朽更新を実施したほか、新たにNC大型5軸加工機を導入。鋼板加工の後工程となる製缶部門の体制を強化している。

 足元は5軸加工機もフル稼働。加工多様化の具体的な手掛かりとして今後に期待している。また今後も設備の老朽化対策と合わせた溶断機のさらなる効率化や工程管理システム刷新による効率化を視野に入れている。

 亜鉛めっき部門は、愛知県知多市に長さ14メートル、深さ3メートルの地区最大級のめっき槽を持ち一般構造物、鋼管の加工を手掛ける。知多工場も開設から20年が経過し、老朽化も進んできた。「同部門も老朽対応と同時に効率化が課題。このため受注から出荷までのめっき工場生産状況の可視化を目指して工程システムの刷新に着手した。」(北村社長)と話す。

 北村社長は「全社で増収増益となっている現状は、人材育成と設備投資の好機」と見る。

 人材育成は社内の研修に加えて外部研修の機会を増やし「特に管理者のレベルアップを図りたい」(北村社長)とする。その手始めに、日鉄住金総研が持つノウハウを活用した管理者研修を実施した。現場の技術技能伝承については指導員制(ベテラン社員が割り当てによって若手の指導員になる)などによる保全を含めた技能伝承を推進中である。

 また「明るく活気のある職場づくり」の一環として、本社事務棟内のリフレッシュ工事も開始。採用面でもプラスにつなげたい考え。「休日を増やすなどの待遇改善も行いながら、全体の生産性向上にもつなげる取り組みも地道に続けていきたい」(北村社長)とも。

 「安全」については「新日鉄住金グループ一体となって徹底した再構築に取り組んでいる」(北村社長)。「機械の本質安全設計」の思想を具体化した設備も順次増えてきた。安全対策は効率化にもつながることから、依然として不足感のある現場の人員対策の面からも積極的に取り組んでいく」とする。さらに昨年から熱中症対策として工場内複数個所に休憩所設置も進めている。

 企業概要

 ▽本社=愛知県海部郡飛島村

 ▽資本金=1億5千万円(新日鉄住金グループの出資比率50・1%)

 ▽社長=北村光章氏

 ▽連結売上高=約76億円(18年3月期)

 ▽主力事業=厚板加工、亜鉛めっき加工、照明柱・鋼管柱・パンザーマスト製造

 ▽従業員数=250人(18年6月1日現在)

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