今季限りの現役引退を示唆した村田修一の足跡 “松坂世代”で光り輝く打撃成績

栃木県内で会見に臨んだ村田修一【写真:荒川祐史】

1日に記者会見し、現役引退を示唆

「引退」の2文字は口にしなかったが、栃木ゴールデンブレーブスの村田修一内野手が、NPBへの復帰を断念する記者会見を行った。

 村田には、選手登録期限である7月31日までにNPB球団からオファーがなかった。

 東福岡高校時代はエースで4番。1998年春の選抜では、2回戦で出雲北陵を5-0で完封するも、3回戦で松坂大輔を擁する横浜高校に0-3で敗れる。投手として松坂大輔にかなわないと悟ったという村田は、日本大学進学後は野手に転向。大学屈指の強打者となり、2002年自由獲得枠で横浜に入団した。

 1年目から25本塁打を打つなど強打の三塁手として活躍し、2007~08年は2年連続で本塁打王を獲得。2011年オフにFAで巨人へ移籍し、巨人でも中心打者として活躍した。また、三塁手としてもダイナミックな守備で鳴らし、2013、14、16年にはゴールデングラブ賞を受賞している。

 しかし、2017年オフに若返りを目指すチームの意向で自由契約となった。

 2017年の村田は規定打席には達しなかったものの100安打14本塁打58打点、打率.262をマークしており、他球団では十分な戦力になるであろうとみなされていた。だが、オファーはなく、2018年は独立リーグ、ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスでプレーすることとなった。

 栃木では一時肉離れで戦線離脱したが、42試合145打数51安打9本塁打44打点、打率.352を記録。38歳ではあるが、パフォーマンスに衰えは見えなかった。BCリーグは今季から26歳定年制を採り、村田などオーバーエイジ枠の選手を除き、若返りを図ったが、その中で村田はマウンドで若い投手を励ますなどチームリーダーとしても活躍した。

安打数、本塁打数でも世代を代表

 村田は、いわゆる“松坂世代”の打者では傑出した存在だ。

○松坂世代の安打数5傑(外国人選手除く)※はNPB現役

村田修一 1865安打(東福岡-日大/横浜-巨人)
東出輝裕 1366安打(敦賀気比/広島)
小谷野栄一 1260安打(創価-創価大/日本ハム-オリックス)※
梵英心 990安打(三次-駒大-日産/広島/エイジェック)
森本稀哲 904安打(帝京/日ハム-横浜-西武)

○本塁打数5傑

村田修一 360本(東福岡-日大/横浜-巨人/栃木)
梵英心 74本(三次-駒大-日産/広島/エイジェック)
小谷野栄一 71本(創価-創価大/日本ハム-オリックス)※
古木克明 58本(豊田大谷/横浜-オリックス)
小池正晃 55本(横浜/中日-DeNA)

 投手では現中日の松坂大輔が112勝(MLB56勝)、巨人の杉内俊哉が142勝、ソフトバンクの和田毅が126勝(MLB5勝)、また阪神の藤川球児が224セーブ(MLB2セーブ)を記録しているが、村田修一も含め、名球会の基準となる日米通算2000本安打、200勝、250セーブには届きそうにない。

 一世を風靡した松坂世代も38歳。多くの選手が球史を飾ってきたが、名球界入りする選手が出なかったのは意外ではある。

 村田修一は今季終了まで栃木ゴールデンブレーブスでプレーすると表明した。若い選手は、大選手・村田のプレーを目に焼き付けてほしい。(広尾晃 / Koh Hiroo)

© 株式会社Creative2