ガスリー、三位一体のパフォーマンスでハンガリーGP“Bリーグ”を制覇【今宮純のF1ドライバー採点】

 F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は第11戦ドイツGP、第12戦ハンガリーGPの2戦分だ。 

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☆ カルロス・サインツJr.

 5戦連続8回目の表彰台はベッテル7回より多い。今季未勝利という結果は事実だがベッテルと対比すると彼は、異なる戦略や戦術を(不満でも)受け入れてレースを全うしている。最年長ベテラン、「大人のレース」である。猛暑ハンガリーGPではドリンクシステムに不備があっても昔から暑さは平気。フィンランド人は『サウナ』好きだからとか……。

☆☆☆☆ ダニエル・リカルド

 またハンガロリンクで見せてもらった、達人リカルド流オーバーテイクの極意。1~2~3コーナーにかけて彼はこうやる。1コーナーでは無理に仕掛けず、2コーナーでアウトラインから並んでいき、下りこむ3コーナーでそのままインラインをとってかわすのだ。先の先を読むリカルド流『忍びの技』――。

☆☆☆☆ ルイス・ハミルトン

 ドイツGPの14位から逆転勝ちの後、ハンガリーGPでは金曜フリー走行の絶不調から逆転PPウイン。勝因はセッティング大変更だけでなく彼自身ドライビングを修正、クリッピング・ポイントを奥に深くとるように変えていた。雨の予選ではアクセル・ワークもしなやかタッチ、デフやブレーキなど細かくコクピットで設定を変えていた(はずだ)。PPラップは誰よりもホイールスピンが少なかった。

☆☆☆☆☆ ピエール・ガスリー

 祝・ハンガリーGP“Bリーグ優勝”、第2戦バーレーンGPに次ぐ2勝目。ホンダPU(パワーユニット/エンジン)のドライバビリティ+トロロッソのトラクション+ガスリーの気迫、三位一体による成果だ。雨の予選で際立ったセクター3、フェルスタッペンに0.564秒差をつけセクター1と2の遅れを取り戻した。

 90度ターンの12コーナーと180度曲がるターン13&14の攻めこそ、三位一体パフォーマンス。スタートでフェルスタッペンに行かれてもサインツをすかさずパス。6位ポジションを堅持、オープンエアのなかウルトラソフトで最長32周は完璧なタイヤマネージメントだ。

 1位ハミルトンと同ラップの73.273秒差、セーフティカー導入はなく70周を“1周1秒遅れ”ペースで実力走破。この貴重なデータを徹底解析することが後半戦につながる。トロロッソ・ホンダ、夏のいい『中締め』だった。

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