金属行人(8月2日付)

 セオリーという言葉には「理論・定石・確立された方法」などの意味があるようだが、最近の気象を見るとつくづく「セオリーは絶えず変わっていくものなのか」と思ってしまう▼先週末、日本を襲った台風12号。台風は太平洋側や東シナ海から日本列島を西から東に横断するルートが一般的だが、今回は太平洋を北上して西に大きくカーブする進路をとるという異例の動きで、鉄鋼関連でも一部企業に冠水などの被害が出た。西日本豪雨の影響もあって、気象庁も最大限の注意を喚起した▼今年の梅雨明けは関東甲信地方が九州南部地方よりも早く、観測史上最速の6月に明けた。そして40度超も珍しくなくなった猛暑。感覚がまひして30度前後が涼しく感じてしまう。熱中症で死者も出ている危険な暑さは今後もしばらく続くとみられている▼東京オリンピック開催まであと2年となった。最近の異常気象の傾向を考慮し、暑さ対策で大会運営側も競技の開催時間を早朝にずらすなどの方針を打ち出している▼一昔前とは明らかに気象条件が変化している昨今、夏季オリンピックの開催時期ももっと柔軟に考えてよいのではないか。この「セオリー」は、人の力で十分変えられると思うのだが。

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