GT300マシンフォーカス:ホンダNSX GT3/コーナー重視から変わったNSX。道上「いかにトラクションを生かすか」

 2018年シーズンは14車種29チームがアツいバトルを展開しているスーパーGT300クラス。そのなかから11台をピックアップし、ドライバーや関係者にマシンの魅力を聞いていく。今回は、2018年からグローバルでのカスタマーレース活動が開始されたホンダNSX GT3にフォーカスする。

 2017年に販売が開始された2代目のホンダNSXをベースとするNSX GT3。実戦投入初年度となった昨年はアキュラNSX GT3として北米のIMSAウェザーテック・スポーツカーチャンピオンシップを主戦場としてきた。日本を含むアジア圏やヨーロッパなど、グローバルでのカスタマーサポートが開始されたのは2018年からだ。

 マシンの開発はホンダの北米開発拠点であるホンダ・パフォーマンス・ディベロップメントが主導。製造はイタリアのJ.A.Sモータースポーツが行っているため、国産GT3カーというよりも、輸入GT3カーの色が濃い。

 レース仕様にするにあたり、HPDは市販モデルからハイブリッドシステムを非搭載とすると同時に、駆動方式を4WDから後輪駆動に変更。そのほか6速シーケンシャルギアの採用、軽量化を実施。搭載するエンジンは市販モデルと同じ3.5リッターツインターボV6で、ミッドシップレイアウトが採用された。

 2018年のスーパーGTではModulo Drago CORSEとCARGUY Racingの2チームが、このNSX GT3を投入している。

Drago CORSEでModulo KENWOOD NSX GT3をドライブしている道上龍
Modulo KENWOOD NSX GT3
Modulo KENWOOD NSX GT3

■市販NSXとの違いと共通点。「アクセルを踏んだときの車速感はノーマルのほうがある」

 搭載しているツインターボエンジンについては、アンチラグが少なく「かったるい感じはしない」とのこと。「中間域のトルク、ターボが効き始めてきたときのトルクはものすごくあるなという印象」だといい、トップスピードよりも中間加速を意識した特性のようだ。

 GT3は市販車をベースとしたレーシングカーということで、気になるのは市販モデルとの乗り心地の違い。道上によれば、コーナリング中に感じる“ロール感”に市販モデルとの共通点を感じるという。

「ロール量はレーシングカーのほうがありませんけど、街中で乗っている時のロール感とサーキットで感じるロール感というのは、なんとなく動きとして似ている感じはしますね」

「当然市販車のほうが、街乗りも考えている分、ロール量は多いですよ。でも、どちらかと言うと、うまくロールを利用しながら走るクルマなんです」

「ただパワーについては(GT3より)市販車のほうがあります。エンジンとハイブリッド分で600馬力あるじゃないですか。だから、アクセルを踏んだときの車速感はノーマル(市販モデル)のほうがあるんじゃないかなと思います」

「レーシングカーのほうはターボエンジンで車重も軽くなってますけど、ハイブリッドは積んでません。ただ、そのトルクの感じ方はノーマルのほうがあるのかなというイメージですね」

 第1戦岡山はクラッシュでリタイアを余儀なくされたModulo KENWOOD NSX GT3だが、続く第2戦富士では中間トルクが太いというエンジン特性も生かして予選11番手、決勝8位でデビュー2戦目にしてポイントを持ち帰った。

 まだグローバル展開されてまもない車両ということもあり、開幕前は日本で使用されるガソリンやハイグリップタイヤにマッチしていない部分も多かったというNSX GT3だが、シリーズ折り返しを迎えてデータは揃ってきているはず。ランキング上位チームのウエイトが重くなる終盤は上位をかき回す存在になりそうだ。

Modulo KENWOOD NSX GT3

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