出会いの場、見極めるのは自分自身  マッチングアプリのリアル(4)

エウレカ本社で取材に応じる取締役の中村裕一さん=東京都内、エウレカ本社

 スマホやパソコンで恋愛や結婚の相手を見つけられるマッチングサービスは、自分の条件に合う相手を効率的かつ手軽に探せることが魅力だ。かつては「出会い系サイト」を使った犯罪も発生し、ネガティブなイメージを持つ人も少なくなかったが、現在は利用者が急増。運営会社や業界団体を取材し、その理由を探った。

1年に1万8千人超が結婚

「タップル誕生」の画面イメージ=マッ チングエージェント提供

 マッチングサービス国内最大級の「Pairs(ペアーズ)」。スマホやパソコンで登録すると、「年齢」「住所」「年収」などの条件で相手を検索できる。当てはまる人が〝相性度〟とともに表示され、気になる人を見つけたら「いいね」を押してアプローチ。相手から返信が来たら、マッチングが「成立」し、その先のメッセージのやりとりが、男性は有料となる。

 運営会社エウレカによると、2012年にサービスを開始し、日本、台湾、韓国での利用者は、8月1日現在で800万人にまで伸びた。主なユーザーは、30歳前後で、1~2年以内には結婚したいという希望を持つ人が多い。同社は、利用者で17年に結婚に至ったのは1万8500人と推計している。

 出会いを提供するサービスの形も、さまざまだ。

 サイバーエージェントグループでは現在、3つのマッチングアプリを運営している。映画や音楽といった趣味を通じて探す「タップル誕生」のほか、GPS機能を使い日常生活の中ですれ違った相手とつながる「CROSS ME(クロス ミー)」や、顔の好みで相手を選べる「mimi(ミミ)」。ネットでの出会いに抵抗感が薄い大学生から20代前半の若い層を中心に、利用者数は伸びているという。

進むチェック機能強化

 かつて流行した「出会い系サイト」は、匿名性が高く、異性をよそおった「サクラ」がやりとりをしていて、全く会えなかったり、金銭をだまし取られるなどの問題が横行していた。

 エウレカ取締役の中村裕一(なかむら・ひろかず)さんは「登録にフェイスブックの情報を利用した本人確認をすることで、なりすましや複数アカウントを持つのが難しくなった。24時間態勢でシステムと人間のスタッフが投稿内容に不審な点がないかをチェックし、健全に出会えるようになった」と話す。

市場規模も拡大

マッ チングエージェント提供

 利用者の増加に伴い、マッチングサービスの市場規模も拡大している。

 株式会社マッチングエージェントは今年2月、日本のオンライン恋活・婚活マッチングサービスの市場規模は、18年に374億円との予測を発表した。昨年の予測では「18年に273憶円」としており、上方修正した形だ。事業者の新規参入が相次ぎ、若い世代を中心に利用者も増加している背景があり、5年後の23年には2倍以上の852億円にまで拡大する見通しだ。

業界が自主規制ガイドライン

 急速に規模が大きくなる中、業界全体でも安全性への取り組みを強化している。一般社団法人「結婚・婚活応援プロジェクト」は18年2月、加盟しているマッチングサービス運営の大手7社が中心となり、自主規制ガイドラインを策定した。個人確認の徹底やルール違反の監視、利用者への注意喚起などの約束を定め、順守するとしている。同法人の担当者は「ユーザーの利便性を保ちつつ、利益第一主義にならないよう、安心安全の提供のために運営者側がお互いに律する意味合いもある」と話す。

 ただ、環境がいくら整っても、トラブル回避のために重要になるのは、やはり利用者自身の心掛け。エウレカの中村さんは「あくまで恋愛の1つのツールで、合コンやお見合いなどと同じように出会いの『場』でしかない。相手を選ぶ際には、自分の目でしっかりと判断してほしい」と呼び掛ける。(共同=大友麻緒27歳、第3部終わり)

© 一般社団法人共同通信社