【新日鉄住金、山特の子会社化決定】欧オバコは山特子会社に

軸受鋼を強化

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 新日鉄住金(社長・進藤孝生氏)と山陽特殊製鋼(社長・樋口眞哉氏)は2日、新日鉄住金が2019年3月末予定で山陽特殊製鋼を連結子会社化する正式契約を締結したと発表した。新日鉄住金は第三者割当増資により山特への出資比率(議決権ベース)を現行15・3%から51・5%に引き上げる。山特はこの増資で得る672億円と同額で欧オバコを新日鉄住金から買収し、完全子会社とする。新日鉄住金グループの特殊鋼棒線事業において軸受鋼中心の山特の位置付けがより明確になり、自動車、軸受メーカーの世界展開に呼応する体制構築が進む。

 一連の再編により、新日鉄住金グループで年100億円(税引前利益ベース)、このうち山特として年50億円のシナジー効果を見込む。主な施策はグループ全体での効率的生産の追求、顧客への対応強化、調達コスト削減など。具体的には地域別最適生産体制構築、操業ノウハウ共有化、海外生産拠点・物流網の相互活用、共同研究開発による提案力強化などが柱になる。

 最適生産体制の構築では、来春から2年以上かけて山特に軸受鋼生産を集約する一方、構造用鋼などを山特から新日鉄住金に一部移管していくとみられる。連結子会社化により、相互OEMではなく事業移管の形で生産再編を進める下地は整う。

 新日鉄住金は特殊鋼棒線で世界トップ級。山特は軸受鋼の国内生産シェアで4割近くを握る特殊鋼専業大手で、国内外で軸受用素形材(鍛造・旋削品)事業も展開する。オバコも軸受鋼を得意とし、素形材事業も手掛ける。樋口山特社長は「軸受メーカーなど需要家のグローバル化が進んでいる。素形材を含む特殊鋼事業のシナジーにつながるアイデアはたくさんある」と述べた。

 新日鉄住金は6月にオバコを買収、完全子会社化していた。宮本勝弘新日鉄住金副社長は記者会見で「山特がオバコの買収資金を調達するため、当社が第三者割当増資に応じる。山特は今中期計画で500億円の設備投資を実行しつつ健全な財務体質を維持できる」と資金スキームの狙いを説明した。

 山特には印子会社「MSSSPL」もある。軸受鋼などの高清浄度鋼技術で世界トップ級の山特、オバコを交えて、新日鉄住金グループの特殊鋼事業は国内外で存在感を増す。