【ダイサン、設立70周年】〈直需向け加工品の販売強化〉最先端技術で業務改善推進

 「お客さんが、形鋼が必要になった時、まず最初に電話をかけてもらえるような品ぞろえと営業体制を構築していきたい」とするのは、あす4日に設立70周年を迎える大手形鋼流通、ダイサン(本社・大阪市西区)の竹村英明社長。

 同社は、故中西大三郎氏が1946年(昭21)に中西商会として個人創業。2年後の48年8月4日に株式会社に改組した。57年には、東京出張所を設け、関東に進出するなど形鋼流通のトップランナーとして事業を拡大させていった。2015年には全株式を譲渡し、阪和興業のグループ会社となった。

 その15年から指揮を執る竹村社長は「社員の意識改革はかなり進ちょくしたが、まだまだ道半ば」とする。竹村社長がまず取り組んだのは、待ちの営業からの脱却。全社で新規開拓に努め、鋼材だけでなく消火器やさび止め塗料なども扱うようになった。

 特に東京支店では増員し、提案営業に注力。現在、東北、栃木、群馬、新潟、千葉、静岡への定期便を運行している。自社便も今年度中には増車し、倉庫のある浦安周辺のサービス向上を図る。

 また、1年半前に業務改善プロジェクトを立ち上げ、コンサルタントのアドバイスを受けながら社員各自の業務を徹底的に分析。最先端技術を導入し、働き方改革につなげていく。

 具体的には、誤出荷の防止。ミルシートの自動発行。情報機器の起用による倉庫とのコミュニケーションの円滑化と時間短縮。

 また、マーケットトレンドのデータ分析も精度を上げていく。「事務作業などの業務を軽減することで、営業関係者の生産性を上げたい。それらにより生まれる時間を、顧客のお役に立てる提案を思案するなど、本来営業が取り組まなければならない時間に振り向けていく」とする。

 営業面では、直需向けに加工品の販売を強化。現在、加工品の扱いは切板や形鋼の切断・穴あけ主体にとどまっているが「加工業者とのネットワークをさらに広げ、溶接や塗装など二次加工品の分野でもお役に立ちたい」とする。 

 社員教育では「これからの形鋼流通は、従来通りだけでは食べていけなくなる。次の手を打つにも人財がいなくては新たな方向に進んでいけない」という危機感がある。その危機感を払しょくするため、昨年度よりコーチを起用したコーチング研修を継続的に実施。社員の潜在能力を引き出し、意識改革を進めている。

 女性社員の活躍の場も広げ、会社全体のさらなる活性化を図っていく。

 同社は設立70周年を記念し、9月15~17日に北海道道東部(知床、野付、釧路)への社員旅行を行う。(橋川 渉)

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