【トロロッソ・ホンダ/ガスリー密着コラム】6位入賞にご満悦のガスリー。バカンスではダイエットに励む

 2018年、ホンダF1はトロロッソと組んで新しいスタートを切った。新プロジェクトの成功のカギを握る期待の新人ピエール・ガスリーのグランプリウイークエンドに密着し、ガスリーとトロロッソ・ホンダの戦いの舞台裏を伝える。

──────────────────────────────

 ハンガリーGPで見事6位入賞を果たしたピエール・ガスリー。ここ数戦の苦戦がウソのように好調を発揮できたのは、トロロッソの車体、ホンダ製パワーユニットがハンガロリンクと相性が良かったのが第一の要因だった。ガスリー自身、フォーミュラ・ルノー3.5時代に1位2位、GP2でも2位1位と、このサーキットを大の得意としていたのも大きかった。

 ここまでのトロロッソは、初日フリー走行でマシンバランスが決まらずに苦しんでいた。ファクトリーで設定したイニシャルセッティングが、実際にサーキットで走り出すと合っていないという事態がしょっ中だったのである。それが毎年のようにポイントを獲得しているハンガロリンクでは、初日からピシッとマシンが決まった。

 マシンが安定して速かったからこそ、初日は晴れ、予選日は雨が降ったり止んだり、そして決勝当日はドライ路面かつ3日間で一番の暑さと、毎日目まぐるしく変わったコンディションにもまったく動じることはなかった。それに加えてスタッフの作業はノーミス、車体もパワーユニットもトラブルフリーだった。

 夏休み明けにはスパ・フランコルシャン、モンツァと高速コースが続き苦戦が予想される。しかしガスリーがコメントしていたように、「何周走っても、バランスの良さが正確に再現される」クルマに仕上げられれば、ハンガリーでの好調を持続することも、決して不可能ではないはずだ。

 ということでハンガリーGPの週末は、終始上機嫌だったガスリー。毎日ニコニコしていたのは、あとふたつ理由があった。まずガールフレンドのカテリーナさんがいっしょだったこと。

「バーレーンで4位入賞の時も彼女がいたし、別にゲンを担ぐわけじゃないけど、もしかしたら今回もって期待してしまうよね」と、木曜日に語っていたガスリー。その期待通り、今回も幸運の女神となってくれたのだった。

■バカンスの話題で持ちきりのフランス人たち

 そして上機嫌のもうひとつの理由は、夏休みである。フランス人といえばバカンス。彼らが働くのはバカンスを楽しむためであり、それはガスリーもフランス人ジャーナリストたちも例外ではない。

 なのでフランス語囲み取材の際には、セッションについての質問はほんのちょとだけで、あとの大部分は「ハンガリーGPが終わったら、どこでバカンスを過ごすか」の話題で盛り上がったのだった。

「バカンスはめちゃくちゃ待ち遠しいけど、でも基本的にはトレーニングの毎日だよ」と、ガスリー。ベルギーGPまで約3週間のバカンスは、トレーニング漬けだという。「とはいえ最初の週は、軽めに押さえようと思ってる。ここ数週間レースが続いて、回復期間も十分取れなかったから、疲れもちょっと溜まってるしね。本格的なトレーニングはそれからだね」

 第2週からは、家族やガールフレンドといっしょに1週間ギリシャ旅行に出かけるという。

「そこからはみんながビーチでのんびりしてる間も、ランニングかマウンテンバイクのトレーニングさ。心拍を上げるのが中心だね」

 実はガスリーは今、ダイエット中だという。というのもクルマが重い分、ガスリー自身の体重を軽くしなければならないのだ。

「ただでさえ車体が最低重量に達してなかったのが、ドイツGPで車体のアップグレードをした際に、さらに重くなってね。エンジン冷却系だけで3kgも重くなった。今は規定車重より5kg重い状態かな」

「ただダイエットに励みすぎて筋肉量が落ちてしまうのもまずいから、トレーニングメニューもしっかり考えないといけない。あとは甘いものは厳禁(笑)。ドリンクも水のみ。でも1kg減らすだけでタイムには効くからね」

 すでに十分締まった身体つきのガスリーが、バカンス中の3週間だけで5kgも痩せられるものだろうか。ちなみに2019年シーズンからは最低車重にドライバーの体重は含まれなくなり(ドライバー+シートの重量が80kgに満たない場合、バラストの搭載が義務付けられる)、ガスリーがダイエットで苦労するのも今年限りである。

© 株式会社三栄